2021 Fiscal Year Annual Research Report
高校生を対象としたハンセン病に関する人権教育教材の開発と人権教育の実践
Project/Area Number |
21H03918
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Research Institution | 愛知県立知立高等学校 |
Principal Investigator |
田中 見佳 愛知県立知立高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハンセン病教材冊子 / 効率と公正 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高等学校において令和2年度奨励研究(研究課題名:高等学校を対象とした人権教育教材の開発-ハンセン病を題材とした教材冊子の作成-)で作成した教材冊子を使用した人権教育を行い、授業実践から得られた知見を基に、教材冊子の改訂を行うことと、指導者向けの教材冊子の手引書を作成することとした。 研究目的を達成するために、令和4年1月~2月にかけて筆者の勤務校の生徒を対象に教材冊子を使用した授業実践を行い、学習における生徒の記述内容の分析と事前・事後アンケート結果を比較・分析し、考察を加えた。これに加え、手引書を作成するために、他校の公民科の教員に教材冊子に対する意見を収集した。また、令和4年11月に国立ハンセン病療養所邑久光明園を訪問し、施設見学及び学芸員への聞き取り調査を実施した。 研究成果として、以下の3点が挙げられる。 (1)学習指導要領で社会的な見方・考え方として例示されている「効率と公正」や「対立と合意」から、ハンセン病患者の療養所への強制隔離政策を多面的・多角的に考察させることができた。(2)偏見や差別を人間の本能や感情に基づく「仕方がないもの」として捉えるのではなく、ポリティカル・コレクトネスを手掛かりとして「偏見や差別を構造的に捉え、個々の人権が尊重された民主的な社会を構築するためにはどうしたらよいか」について授業実践を通して構想させることができた。(3)授業実践やアンケート結果、現地調査の成果等を基に教材冊子の改定と手引書の作成を行うことができた。
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Remarks |
筆者作成教材「瀬戸内の波音に耳を澄ませば」
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