2021 Fiscal Year Annual Research Report
歌唱学習における声の相似現象―学習プロセスとこどもの声の健康
Project/Area Number |
21H03960
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
戸谷 登貴子 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 人工臓器・機器開発研究部, 研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小児嗄声 / 学校教育における声の健康 / 歌唱指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもの喉の健康に注視し、音楽科の歌唱指導の改善・向上と共に、学校教育における声の健康管理への意識向上を目的とするものであった。長引くコロナ感染状況の中、学校音楽授業、集団歌唱における音声検査は実施することができなかったが、課外で歌唱活動をしている嗄声児童の経過を追うことができた。また学校教育現場の実態調査については、千葉県八街市に協力頂き、市内全小・中学校養護教諭へのアンケート調査を実施するこができた。音楽授業の実態調査については、千葉県内公立小・中学校の音楽科教諭へアンケート調査を行った。 小児嗄声の経過観察からは、被験者男児が検査当時小学5年生のであったことから、変声期と嗄声改善の関係性、改善状況を検証することができた。それにより、嗄声状況での適する歌唱指導について音域面、発声の指導法を言及することができた。また音楽科教諭、養護教諭へのインタビュー、アンケート調査からは、学校現場における児童・生徒の声の健康についての軽視が明らかになった。音楽科教諭からは、集団歌唱の中での個々の症状の判別が難しい状況、嗄声や声の出にくい児童・生徒を指導する機会があっても、対処法がわからず、指導を講じることなくほとんどがそのままになっていることがわかった。また、養護教諭の中には、「嗄声」という言葉すら知らない教師もおり、単に「声がれ」と認識している例が多かった。 このような教師の認識不足の実態から、まずは学校現場における声の健康、衛生に関心を持ち、正しい認識と啓蒙をしていくことが課題である。音楽科教諭においては、子どもの声の症状を最も把握できる立場にいることを踏まえ、歌唱学習指導において個と集団指導の両面の有用・有効性のある指導を導入していくことが重要である。 これらの現状と課題については、論文作成、日本多職種小児医療学会で発表を行った。
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