2021 Fiscal Year Annual Research Report
「変動する地球に生きるための素養」を育む身近な大地の探究
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21H03971
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉田 泰一 広島大学, 附属高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 変動する地球に生きるための素養 / 地球システム / 探究学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は,中学校理科「大地の成り立ちと変化」において「変動する地球に生きるための素養」を育成するための探究学習を開発することである。 地球環境の変化をはじめ,自然が人間生活・社会にもたらす恵みや災害は,様々な自然事象が相互に関連した複雑な地球システムの中で生起している。また,日本は豊かで多様な自然に恵まれつつも災害大国でもある。このような理解を通して,日本学術会議(2020)が提言した「変動する地球に生きるための素養」の育成を図るために,次の4つのプロセスから成る探究学習を開発した。1)日本や世界における特徴的な地形の形成過程や人間生活・社会との関わりを学び,大地を探究する視点や課題設定の仕方を理解する。2)野外観察と1人1台端末の利用を想定した3Dデジタル地図の活用等との連接を図った地域の地形観察を行い,疑問を挙げ,探究の課題を設定する。3)探究の課題について,教科書に記載されている「大地の成り立ちと変化」の学習を通して随時追究する。4)追究したことをまとめ,地域の地形は様々な自然事象が長い時間をかけて相互に関連して成り立っていること,人間生活・社会に影響を及ぼしていることを見いだす。 本探究学習を通して,学習者は,地球の活動的な側面が日本で見られること,自然の相互のつながりが人間の活動に影響を与えていること等の認識を高めた。また,地球や宇宙に関する疑問を調べたことがある学習者の増加,ハザードマップを理解して活用したいと考えている学習者の増加が見られた。さらに,大地に関する学習イメージとして,「覚える」が減少し,「疑問をもつ」,「謎解きをする」,「つなげる」,「役立てる」等が増加した。以上のような学習者の地球に関する認識,学習に向かう態度,学習観の変容より,開発した本探究学習は「変動する地球に生きるための素養」を育成する一助となりうることを確認できた。
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