2021 Fiscal Year Annual Research Report
SEM反射電子像を活用した組成判別の技術獲得のための実習試料の検討
Project/Area Number |
21H04057
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
高松 貴子 長岡工業高等専門学校, 教育研究技術支援センター, 技術職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 走査型電子顕微鏡 / 反射電子像 / 教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
走査型電子顕微鏡 (SEM)は,二次電子検出器を用いた表面形態の観察とともに,反射電子検出器を用いることで,原子番号が大きく異なる元素を白黒のコントラストの違いで判別することが可能である。これまで「見分けられる」ことに着目した教材として,原子番号が大きく異なるカーボンペーストと銀ペーストを塗り分けた試料を用いて, SEM反射電子像のコントラストの違いとして観察できることを学ぶ機会を設けてきた。一方で,どのような場合にコントラストの差が明確でなく構成元素が判別しにくいのか実習する機会がないことが課題であった。本研究では,どのような構成元素の違いは見分けにくいのかを学ぶことができる「見分けにくい」ことに着目した実習教材の検討を行った。 赤橙色のCuと銀灰色のZn,Al,Sn板をひとつの試料台に固定したものを実習試料として用意した。試料の反射電子像観察を走査型電子顕微鏡(JEOL,JSM-6060LV,JSM-6360LA)により行った。目視ではZn, Al, Snは同じ色で判別が困難であるが,SEM反射電子像では原子番号の差によるコントラストの違いから明瞭に判別できる。一方,Cuと他の金属とは,目視では判別できるが,特に,Znは反射電子像では原子番号が近く,判別が困難である。このような試料を用いた実習を行い,受講生に反射電子像観察で判別が難しい元素について,理解度のアンケートを行った。 従来の見分けられるC, Agペーストを用いた実習に比べ,反射電子像に対する理解度の向上が見られるとともに,電子顕微鏡に関する総合的な理解度の向上も見られた。「見分けられる」教材だけでなく,「見分けにくい」ことに着目した教材を用いることで分析技術の理解度の向上が期待できることが示唆された。
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