2021 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な生態系利用を学ぶための校内生態系の統合的な活用方法の開発
Project/Area Number |
21H04068
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Research Institution | 立教新座中学校・高等学校 |
Principal Investigator |
墨野倉 伸彦 立教新座中学校・高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炭素循環 / 生態系 / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高校3年生を対象に、校内の生態系活用を主題とする実習形式の授業を1年間行い、その中で下記①~④の内容を実践した。 ①炭素循環の解明:「校内生態系が1年間に吸収/放出する炭素量を明らかにする」ことをテーマに、校内を森林・草原・農耕地の3タイプに区分し、持続可能性の指標として炭素循環プロセスの解明に取り組ませた。CO2濃度計を用いた光合成量と呼吸量の測定を中心に、生態系タイプに応じた各種測定を行った。光環境や温度環境との関連から、各生態系の炭素吸収/放出量を推定させた。 ②農作物の栽培と収量測定:日常生活への生態系の寄与を実感させるため、食糧となる農作物を栽培させ、その供給量・炭素量を測定させた。 ③生物多様性の評価:定期的な採集・観察・同定を行い、生物多様性と相互作用を評価させ、①への影響を議論させた。 ④議論と考察:手法の立案や結果の解析は生徒間の議論で進めるように展開した。校内を1つの閉鎖系として①・②の量的関係と③の機能的役割についてグループで解析・考察させ、結果はレポートとポスターにまとめさせた。 実践の教育効果を示すアンケートの結果、受講生の91%が野外観察やフィールドワークに興味をもって取り組めたと回答し、82%が受講前と比べて身近な生態系への関心と気候変動などの問題への理解が深まったと回答した。また、課題に協力してあたることを評価する意見も多数見られた。したがって、本研究が対象者の身近な生態系への関心を高め、その機能について主体的な理解を深めさせることが明らかになった。本研究により、校内の生態系を統合的に活用し、持続可能な生態系利用の方法を体感的に学ぶ教育手法を開発することができたと考えられる。なお、研究の成果は日本理科教育学会、第71回全国大会において、「校内生態系を統合的に活用する教育手法の開発 フィールドワークで学ぶ持続可能な生態系利用」として発表した。
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