2021 Fiscal Year Annual Research Report
アナターゼ型酸化チタン表面の光触媒反応活性サイトの原子構造及び電子状態の分析
Project/Area Number |
21H04074
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
太田 紘志 分子科学研究所, 技術課, 技術職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化チタン / 光電子分光 / 反応活性サイト |
Outline of Annual Research Achievements |
TiO2の光触媒作用は、結晶表面の酸素原子の欠陥によって発生した余剰電子が反応活性に寄与していることが考えられている。先行研究では、TiO2-rutile(110)表面において、余剰電子が欠陥周辺のチタン(Ti)原子に注入され、結晶表面に吸着した分子を酸化していると考えられる。電子の注入されたTi原子が反応活性サイトと考えられているが、このサイトについては未解明な部分がある。この理由は、この反応活性サイトの特性にあり、表面分析において代表的手法である光電子分光では局所的な原子構造の測定が難しい。また、先行研究において利用された走査トンネル顕微鏡も元素選択的な電子状態の測定に不向きである。 これらの研究手法に対して申請者が開発した共鳴光電子回折分光法は光電子回折法を基にした測定法であり、元素選択的に原子の3次元構造と電子状態が明らかにできる。さらに元素固有の吸収端を利用することで、電子状態選択的にサイト周辺の局所構造と電子状態の解析が可能である。この手法により、anatase表面の反応活性サイトと考えられる原子構造と電子状態の測定に成功している。 本年度の研究では分子科学研究所UVSORのBL6Uを使用予定だったが、実験の予約時期にUVSORの加速器トラブルが発生したため、十分な実験を行うことが不可能となった。そのため、既に得られているデータと合わせて解析することでTiO2表面に存在する光触媒反応活性サイトの特異な電子状態を解析したところ、共鳴光電子回折分光を用いることでTi周辺の二次電子の放出過程の解析も可能なことが判明した。この結果も併せて、現在、論文をまとめ始めている。
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