2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H04081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 雅樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 技術一般職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | X線応力測定 / 結晶方位測定 / Fe-Ga合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
強磁性の鉄基合金の磁気的性質は、塑性変形によって影響されることがある。これは塑性変形で導入される転位が、弾性的なひずみ場や応力場をもっているためである。塑性変形で導入されたひずみ場や磁気ひずみ(磁歪)の性質は、結晶方位依存性を示すため、それらの関係性を調べる必要がある。そこで本研究では、磁場と応力の関係性を調べるため、大きな磁歪効果を示すFe-Ga合金単結晶に圧下率が0%, 5%, 15%の圧延加工を施した試料を用意し、磁歪に及ぼす圧延による塑性変形の影響について調べることとした。X線回折による極点図解析により、試料内部の単結晶の情報が得られ、また試料の圧下率が高いほど、結晶方位の広がりが見られた。電子線後方散乱回折(EBSD)によって試料表面のひずみ状態を可視化したところ、圧下率が高いほどひずみが多く導入されていることがわかった。試料に397 kA/mの磁場を印加し、磁化・磁歪を測定したところ、圧下率が高いほど磁化・磁歪が小さくなったことがわかった。これは圧延によって塑性ひずみが導入され、試料内部の結晶方位がずれ、それに伴って磁区が細分化されたためであると考えられる。X線応力測定法であるcosα法を用いて、圧下率が15%の試料の測定を行った。磁場(280 kA/m)の有無による応力状態の違いを解析したところ、磁場印加時で磁場印加方向の圧縮応力が減少し、磁場印加方向と垂直の方向の圧縮応力が増加していることがわかった。これは、磁場により試料の体積変化が生じ、内部の応力状態が変化していることを示唆している。また3次元の応力状態を測定できる2D法(cosα法は平面応力状態を仮定した測定手法)によって、Fe-Co試料の圧下率の違いによる残留応力を測定した。その結果、圧下率増加に伴い、圧延方向および試料面方向に垂直な方向の圧縮残留応力が増加していることがわかった。
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Research Products
(2 results)