2021 Fiscal Year Annual Research Report
サーマルセルを用いた簡易型地下水流向流速センサの試作
Project/Area Number |
21H04084
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小助川 洋幸 秋田大学, 国際資源学研究科, 技術長
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地下水流速流向 / サーマルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,簡易型の地下水流速流向センサ(サーマルセル)の試作を行った。サーマルセルは,塩ビ材を直径20mm,高さ40mm,厚さ2mmの円筒型に加工した容器の内部に,アルミ管にニクロム線を巻き付けたヒーター,および温度センサを設置し,内部に水を充填して構成する。室内実験装置は,長さ1000mm,幅200mm,深さ400mmの水槽の中央に,内径105mmの孔明管を水井戸として設置し,周囲に粒径を調整した川砂を充填して帯水層を形成した。帯水層内の流速は上流部と下流部の水頭差によって決定する。また計測制御ソフトウェアはLabVIEWによって作成した。
実験時は,サーマルセルを水井戸の中央部に設置し,ヒーターによりセル内の温度を周囲の水温+5℃まで上昇させ,加温停止後の温度変化を計測する。まず,1個のサーマルセルを用いて流速の違いによるセル内温度変化を観測した。流速は0(流れなし)を含む3段階に設定し,経過時間を対数でプロットしたグラフの温度変化が直線的に推移する区間の傾きで比較した。その結果,水の流れにより傾きが急峻になる傾向が見られたが,流速がない場合との差はわずかであり,流速による違いもほとんど見られなかった。通常,隔壁と流体の間には境膜熱抵抗が存在し,流速に伴ってこの熱抵抗が小さくなり,全体の伝熱係数が向上するが,本実験条件では境膜の熱抵抗変化が全体の熱抵抗に対して小さいことが要因の一つとして考えられる。次に,サーマルセルを円周上に6個配置して流向の測定を試みたが,前述の理由などにより明確な結果は得られなかった。また実験と同様の条件で行った数値シミュレーションにおいても,流速,流向ともに流れによる変化はわずかであった。 本研究で試作したサーマルセルにおいては明確な地下水流速・流向の検出には至らなかったが,サーマルセルの材質や形状などを再検討して研究を継続する予定である。
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