2021 Fiscal Year Annual Research Report
含水多孔質体を用いた過熱水蒸気生成装置の製作ならびに高効率化に関する研究
Project/Area Number |
21H04085
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江藤 淳朗 九州大学, 工学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多孔質体 / 過熱水蒸気 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、含水多孔質体を用いた過熱水蒸気発生のための実験装置を作成し、使用する多孔質体サンプル2種類による生成蒸気温度の比較,ならびに同一の多孔質体サンプルで2種類の流体を用いた実験によりその特性を明らかにすることで,より汎用的な装置の製作に寄与することを目指した。 実験では装置内のカンタル線ヒーターを約60-200Wの各入力値でステップ状に通電加熱した場合における、生成蒸気温度の上昇ならびにその時間変化を測定し応答性を確認した。 まず、B5、C1と呼称する密度の違う2種類の多孔質体サンプルでは、いずれも入力電力に対して比例的に生成蒸気温度が上昇していくが、その程度には差異が生じた。実験開始前の水温を25.0℃としたときの近似曲線の傾きは,B5がC1の約1.38倍となった。ここで多孔質体内の吸水メカニズムである毛管力に支配的な影響があると考えられる細孔径の、B5のC1に対する倍率が1.57倍程度であったことから、細孔径が大きくなれば、同一の電力量でより高温の水蒸気が得られるという傾向が予測できる。 また、水とエタノールという2種の流体で同一加熱条件の実験を行ったところ、どちらも加熱量が大きいほど蒸気温度が短時間で急上昇することが確認できた。一例として入力電力151.7Wでの通電加熱開始後、水の場合は12.6秒で飽和温度である100℃に達するのに対し、エタノールの場合4.3秒という短時間で飽和温度である78.4℃に達していた。この傾向はいずれの電力条件においてもそれぞれ同程度に見られた。これはエタノールのほうが水よりも飽和温度が低く、蒸発潜熱や定圧比熱が小さいためであると考えられる。 これらの実験成果により、用途に応じて必要な温度の過熱蒸気を効率よく発生させられる装置を計画することが可能となった。
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