2021 Fiscal Year Annual Research Report
精密位置決め装置の共振特性を調整可能な速度フィードバック型の電気的ダンパの開発
Project/Area Number |
21H04093
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 朗人 秋田大学, 産学連携推進機構, 特任助教
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精密位置決め / フィードバック制御 / ダンパ |
Outline of Annual Research Achievements |
IoTやAIなどのSociety5.0を実現する技術において重要なセンサや通信機器、LSIなどの半導体デバイスの需要が高まっている。需要に追従するために、より高速に製造する技術の研究開発が必要と考え、デバイスの素子配置に用いられる精密位置決め装置における高速位置決め技術の開発を目指し研究を行った。高い剛性を持つ位置決め装置は共振周波数が高く、応答性が良いため、高速位置決めが可能である。しかし、高い共振振幅を持つ場合に、質量等による負荷の影響で共振周波数が変わると制御性能が劣化する可能性がある。本研究では、位置決め装置の変位量をセンサで取得し、DSPを用いて変位量を微分処理して速度に変換し、操作量にフィードバックすることで、ダンパのように共振振幅を低減できるかを検討した。使用した位置決め装置は積層型圧電素子と変位拡大機構で構成され、2次遅れ系でモデル化した。また、DSPの微分処理は、不完全微分器と、微分で増幅される高周波ノイズを低減して安定化を図るローパスフィルタの直列回路によって行った。 連続時間系においては、シミュレーションにより、設計指針の設定と性能の予測が可能となった。DSPによる実装は離散時間系でなされることから、離散化して改めてシミュレーションしたところ、サンプリング周波数に起因する予期せぬ不安定極が発生し、結果として系が不安定となった。一方、不安定極は制御対象の共振周波数が、ナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)に近い場合に生じることから、安定となる共振周波数をシミュレーションにより見出し、制御対象の共振周波数を安定な周波数に下げることのできる負荷質量を設計・作製することで、実機検討が可能な環境を構築できた。しかしながら、本来は装置側の特性を容易に変更できないため、実装における課題として、離散時間系を前提とした新たな設計指針の検討が必要であると分かった。
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