2021 Fiscal Year Annual Research Report
秋田県産天然ゼオライトを原料とする簡易かつ高性能な汚染水浄化ユニットの開発
Project/Area Number |
21H04117
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加賀谷 史 秋田大学, 理工学研究科, 技術職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 秋田県産天然ゼオライト / 重金属イオンの除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,秋田県産天然ゼオライトを用いた汚染水中の有害な重金属イオンの吸着,除去を可能とする浄化ユニットの製作を試みた. 浄化部の作製法として,まずゼオライトをボールミル粉砕,篩分けにより粒径150μm以下とし,これを堆積基材とする金属メッシュに塗布するため,エタノール中にゼオライト粉末を分散させた懸濁液に基材を浸し,基材を陽極として直流電圧をかけ,電気泳動により基材表面にゼオライト粉末を膜状に堆積させた.更に堆積基材をケイ酸を含む濃アルカリ水溶液に浸し,ケイ酸とゼオライトから溶出する微量の金属元素(主にアルミニウム)イオンとの縮合重合反応を起こさせることでゼオライト粉末を硬化させ,基材表面への固定化を行った.浄化部の流水中での耐久性の検証は,スターラーにより400 rpmで撹拌させた蒸留水中に浄化部を浸漬させ,24時間後に取り出し乾燥させた後,浸漬前後の質量変化を比較することにより堆積したゼオライトの残留率を算出,評価した.陽イオン吸着性能の評価については,10 ppmの硝酸鉛(Ⅱ)水溶液を調製し,これに理論上全ての鉛(Ⅱ)イオンが吸着可能な量のゼオライトが堆積した浄化部を浸漬させて撹拌させ,24時間までの一定時間ごとに採水した溶液中の鉛イオン濃度をICP-AESにより定量し,その吸着速度及び下限値から重金属イオンの吸着,除去性能を評価した. その結果,水中での耐久性は,堆積膜の質量2.0 mg/cm^(-2)以上の試料では75%以上,特に4.0 mg/cm^(-2)の試料については最大88.6%と90%近い高値を示した.鉛(Ⅱ)イオンの吸着性能については,3時間以内で0.1 ppm以下まで吸着が行われ,24時間後も吸着が維持されていた.これらの結果から,浄化部には重金属イオンの吸着,除去性能を有することが認められた.
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