Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
腎臓組織(手術検体の残余試料)を使用して、ガラス化法で研究用の凍結包埋標本を調整することで再現性の高い組織切片の作製が実現できるか検証した。市販されているガラス化液を使用してガラス化凍結を行い、凍結包埋標本を作製した。ガラス化法で調整した凍結包埋標本より薄切切片を作製してヘマトキシリン・エオジン染色を実施したところ、コントロールと比較して染色生が弱い傾向にあった。ガラス化法を施した標本の組織像をコントロールと比較した組織像の差は認められなかった。さらに再凍結した標本についても検証したが差は認められなかった。
生体試料保存
凍結包埋標本は抗原性の保持や細胞膜の構造維持に優れており、研究用試料としても利用されている。しかし、凍結時の氷晶形成による組織損傷や出入庫を繰り返すと細胞核の空砲化が生じるという欠点がある。本研究は氷晶形成による組織損傷や細胞核の空砲化の少ない質の高い凍結包埋標本を調整・保存することを目的として、ガラス化法の有用性を検証した。ガラス化法により従来の凍結包埋標本作製における欠点を克服できれば、信頼性の高い研究結果に繋がる高品質な研究用試料の保存が実現できると考えられる。