2021 Fiscal Year Annual Research Report
アクティブサンプラーを用いた光化学オキシダント測定法の教材化
Project/Area Number |
21H04128
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
松浦 紀之 奈良女子大学, 附属中等教育学校, 国立中等教育学校教諭
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オゾン / 光化学オキシダント / アクティブ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
青色色素のインジゴが大気中のオゾンにより分解されて退色する反応を利用した大気中の光化学オキシダント濃度の簡易な測定法を開発し,中学・高校生による大気調査の実践に耐えうる新規な教材とすることを目的とした。 (1)インジゴトリスルホン酸ナトリウム水溶液(インジゴ溶液)がオゾンにより退色する反応をアクティブ法(吸引ポンプによって一定量の大気を吸引して,目的成分を捕集剤と反応させる方法)と組み合わせた。一定濃度のオゾンを含む模擬大気を自作のチャンバー(45cm×45cm×135cm)内につくり,このチャンバー内の模擬大気をインジゴ溶液に一定時間通じた。インジゴ溶液の吸光度の変化は,中性ヨウ化カリウム法から求めた模擬大気中のオゾン濃度と相関があり,通常大気中の光化学オキシダント濃度の測定に適していることが分かった。また,この手法を広く普及させるために,測定手法のさらなる簡易化および装置の廉価化を行った。排出型である熱帯魚用のポンプを吸引型に改造して活用した。フォトダイオードを用いた自作の簡易比色計やカラーチャートを利用することによる簡易定量測定を行った。これにより,生徒の大気調査の実践に耐えることが分かった。 (2)(1)のインジゴトリスルホン酸ナトリウムの代わりに,ブリリアントブルーFCF(青色1号)やニューコクシン(赤色102号)等の色素の水溶液にオゾンを通じると,色素の種類により退色の程度が異なり,オゾンに対する安定性が異なることが分かった。これより数時間~1日間の積算オゾン濃度の測定も可能と考えられる。 日本および世界の大気汚染について,SDGs(持続可能な開発目標)の観点とも関連させることで,生徒の環境問題の現状の理解を深める授業教材とした。
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