2021 Fiscal Year Annual Research Report
ハリサンショウウニのモデル生物化に向けて①-継代飼育法の確立
Project/Area Number |
21H04138
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴田 大輔 筑波大学, 下田臨海実験センター, 技術職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハリサンショウウニ / 継代飼育 / 稚ウニ |
Outline of Annual Research Achievements |
顕微鏡撮影システムの導入によってハリサンショウウニの幼生の成長過程や摂餌量を経時的に記録できた。後期幼生期での餌量の変化が把握でき、幼生密度が1個体/mlに調整されたことで成長率が向上した。また、発生段階が揃ったことで同時期に多くの稚ウニを得ることにも成功した。 変態を終えた稚ウニは、20個体/Lで濾過海水を用いた止水環境下で飼育し、換水を2回/週で実施した。1Lの容器での飼育では、稚ウニを常に目視で確認することが可能であり、これまで観察できていなかった変態完了直後の稚ウニから殻長が3mmに達するまでの期間も管理することが可能になった。また、これまでプラスチックの板に珪藻を付着させ、それを飼育容器内に入れることで稚ウニを飼育していたが、珪藻を直接容器の内側に付着させて飼育することで、稚ウニの生存率および成長率がより高くなった。しかしながら、殻長が2mm以上になると成長に差が出始めたため、殻長2mmの個体から飼育密度を3-5個体/Lで変更したことで成長の差は生じにくくなった。殻長3mm以上の個体は天然海水をかけ流す水槽で飼育を行っており、順調に成長している。殻長3mm以上の個体を止水環境下で飼育する実験も行っており、1個体/Lにすることで殻長20mmに至るまで成功している。 本研究により、ハリサンショウウニの継代飼育においてこれまで不安定であった後期幼生期および稚ウニ期の生存率が向上したことで、本種をモデル生物化して研究および教育に貢献するために必要な安定した継代飼育法が確立された。また、卵から殻長20mmの個体になるまで濾過海水を用いた止水環境下での飼育に成功しており、この飼育法は臨海施設のみならず海水を常に供給できない小規模な研究教育現場での実施も可能であると考えられる。
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