2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H04141
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
太田 勇太 東海大学, 海洋学部博物館, 東海大学海洋学部博物館学芸員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハマネナシカズラ / 絶滅危惧種 / 海浜性植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
静岡ではネナシカズラ属の4種の生育が知られているが、三保の海岸には環境省レッドリスト絶滅危惧種Ⅱ類に指定されているハマネナシカズラと外来種であるアメリカネナシカズラが同様に生息している。しかし、ネナシカズラ属の生育状況などの生態的な知見は不足している。そこで、静岡市の海岸におけるネナシカズラ属の生育状況を把握し、絶滅危惧種であるハマネナシカズラの保全と調査で得た知見を海岸における希少な植物を利用した教育普及に活用することを目的とした。 静岡市の砂浜海岸におけるネナシカズラ属の分布状況を調べるため、踏査による実地調査を行った。ネナシカズラ属が確認できた地点を記録し、コドラート法により1m×1mの方形枠を用いて群落面積の測定、寄生された植物の種類を記録した。 静岡市の砂浜海岸におけるネナシカズラ属の分布状況を調べたところ、アメリカネナシカズラとハマネナシカズラの2種が確認できた。アメリカネナシカズラは110か所で群落がみられ、群落の平均面積は9.6㎡であった。三保海岸、久能海岸、いちご海岸、大浜海岸、安倍川河口、石部海岸、蒲原海岸と広い範囲で確認できた。また、寄生していた植物は27種類確認でき、そのうちハマゴウが最も多く、続いてハマヒルガオ、コマツヨイグサで寄生がみられた。一方、ハマネナシカズラは43か所で群落がみられたが、その全てが三保半島の海岸であった。ハマネナシカズラの群落の平均面積は7.5㎡であり、寄生していた植物は11種類で、1地点を除き全ての群落でハマゴウへ寄生していた。 静岡市の海岸においてアメリカネナシカズラはかなり広い範囲で生育し、ハマネナシカズラは三保半島の限られた地点で生育していることが分かった。一方は外来種であり、もう一方は絶滅危惧種であることから、防除や保全対策のためには今後も継続した調査を行うとともに、生育要因の違いを明らかにする必要があると考えられる。
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Remarks |
太田勇太(2022)減りゆく砂浜と海浜植物 海のはくぶつかん 52(1), p.2.東海大学海洋学部博物館 https://www.muse-tokai.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/d1644fef4392386498bb5f7dd28b426f.pdf
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