2021 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ悪性腫瘍に対する増殖型レトロウイルスを用いた癌自殺遺伝子療法の開発
Project/Area Number |
21H04145
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
園田 絵観子 兵庫医科大学, 医学部, 実験補助
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がんウイルス療法 / イヌ / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の所属研究室は、癌細胞特異的に感染および増殖する増殖型レトロウイルスベクター (RRV: Retroviral Replicating Vector) を用いた自殺遺伝子療法を開発し、これまでにさまざまなヒト癌細胞を用いた担癌マウスモデルにおいて優れた治療効果を示すことを明らかにしてきた。これまでの予備実験の結果、RRVを用いた自殺遺伝子療法はヒトのみならずイヌの癌にも有効である可能性が示されたため、本研究では、イヌの各種癌細胞および正常初代細胞を入手し、同療法の治療効果を評価した。 1.イヌ癌細胞および正常細胞におけるRRVの感染・増殖効率の評価:これまでに所属研究室で作製済みであるマウス由来とテナガザル由来のGFP発現RRVを用いて、RRVの感染・増殖効率をフローサイトメーターで評価した。両RRVとも、イヌ正常細胞においては感染伝播を認めなかったが、イヌ癌細胞株においては、いずれもRRVの効率的な感染伝播を認めた。 2.イヌ癌細胞および正常細胞におけるRRVの殺細胞効果の評価:これまでに所属研究室で作製済みであるシトシン脱アミノ化酵素遺伝子を搭載するマウス由来およびテナガザル由来のRRVを、イヌ癌細胞および正常初代細胞に感染させた。その2週間後に薬物前駆体である5-フルオロシトシンを投与し、5日後にMTS試験にて殺細胞効果を検討した。正常細胞ではRRVによる殺細胞効果は認められなかったが、イヌ癌細胞株ではいずれにおいても、RRV感染伝播効率と添加した薬物前駆体に依存した殺細胞効果を認めた。 3.イヌ癌細胞のヌードマウスにおける腫瘍形成能の検討:イヌ癌細胞をヌードマウスの皮下に移植し、腫瘍形成の有無を検討した。癌細胞は生着し、増殖が確認されたため、担癌モデルマウスの作製に成功した。
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