Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
肝細胞がんをはじめとした肝疾患において頻出するマロリー・デンク小体(MDBs)の性質を明らかにするため、肝細胞がん株Huh-1よりMDBsと考えられるp62陽性液滴・ゲルの精製方法を確立した。精製p62陽性液滴・ゲルの質量分析からMDBsには、ユビキチンやKEAP1といった既存のタンパク質の他に、NBR1やTAX1BP1といった選択的オートファジーレセプタータンパク質が含まれることがわかった。
分子細胞生物学
MDBsは100年以上前に病理学者フランク バー マロリーにより肝細胞がんをはじめとした肝疾患患者の病変部位で発見された好酸性の構造体であるが、その病態生理的意義は分かっていなかった。今回、MDBsには選択的オートファジーレセプタータンパク質NBR1及びTAX1BP1が含まれることが判明した。このことは、MDBsのオートファジーによる選択的分解の仕組みに複数の選択的オートファジーレセプタータンパク質が関与することを意味する。さらに、MDBsの精製法の確立および質量分析から複数の機能未知タンパク質を同定しており、MDBsの病態生理的意義の解明につながる可能性が高い。