2021 Fiscal Year Annual Research Report
ピリジン誘導体化を用いた血中シアン化物の新規高感度分析法の開発
Project/Area Number |
21H04169
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Research Institution | 大阪府警察 科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
掛橋 秀直 大阪府警察 科学捜査研究所, 研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シアン化物 / アミノピリジニウム / LC/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
シアン化物は極めて毒性の高いが既存の分析法は問題を抱えており、中毒究明活動において負担となっている。本研究ではピリジン誘導体化を用いた血中シアンの分析法の開発を行い、死因究明の解決への貢献を試みた。具体的には、アミノピリジニウムによるシアン化合物のピリジン誘導体化と、誘導体の液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)を検討した。誘導体化試薬には、N-アシル化アミノピリジニウム類似体を用いた。その結果、水系溶媒中のシアン化物を簡便に4-シアノピリジンへと誘導体化することができた。また、4-シアノピリジンは極めて安定な化合物であった。しかし、4-シアノピリジンは質量分析のイオン化(ESI)において、ほとんどイオン化されず、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)と分析比較したところ、4-シアノピリジンの検出強度は DMAP の1000分の1以下であった。これは、4-シアノピリジンは、極めてプロトン親和性が低いことによるもの考えられたことから、ピリジンの2位の炭素に「スペーサー(アルカン)」と「ESI感度増強部(アミド基)」を導入した誘導体化試薬の作成を試みた。まず、2-(2-benzamidoethyl)-1-(N-methylacetamido)pyridiniumを合成したが、Benzamideの生成しながら自然分解した。そこで、自然分解が起きないように、スペーサーを伸長した誘導体化試薬の合成を行っている。現在、原料に 4-(pyridin-2-yl)butanoic acidを用いた合成を行っており、合成完了後は、本試薬を用いたシアン化物の誘導体化反応とLC/MS 条件を最適化する。以上の結果から、本研究において、シアン化物を簡便に安定な化合物に変換する反応の基礎情報が得られた。誘導体の検出感度向上が改善されれば、本法は極めて有用なシアン分析法になるものと考える。
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