2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H04171
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鐙屋 舞子 秋田大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ボスチニブ / 腎機能障害 / OCT2 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】慢性骨髄性白血病(CML)の治療は、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)により治癒を目指すまでに進展を遂げたが、一方でTKIの長期使用に伴う慢性期の有害事象が新たな課題となっている。ボスチニブ(BOS)では腎機能障害が顕著だが、その発現機序は1,000例を超える大規模国際試験でも解明されなかった。本研究ではBOSによる腎機能障害について、血中濃度および腎に発現するトランスポータの機能との関連を検討した。 【方法】当院でBOS治療を受けたCML患者28例を対象に、治療開始から36ヵ月間の血中濃度および腎機能を調査した。また腎臓に発現するOrganic Cation Transporter (OCT) 2をコードするSLC22A2遺伝子の多型(rs316019)について解析し、腎機能との関連を検討した。 【結果】対象28例の血清クレアチニン(Cr)は、BOS治療開始後半年間で約20%上昇し、36ヵ月間の観察期間終了時まで同程度を推移した。血中トラフ濃度と血清CrおよびeGFRのベースラインからの変化率(⊿Crおよび⊿eGFR)との間には有意な相関が認められ、BOS血中濃度上昇に伴い腎機能障害のリスクが高まることが示された。BOS治療開始1年後の⊿Crおよび⊿eGFRは、BOSを一次治療で用いた患者群よりも二次治療以降で用いた患者群で有意に高値となった。OCT2の遺伝子多型(SLC22A2 808G>T)は、野生型が24例、変異アレル保有者が4例であり、BOS開始1年後の⊿Crおよび⊿eGFRは野生型で著明に高値であった。血中トラフ濃度と⊿Crおよび⊿eGFRとの関係は、野生型で有意な相関を認める一方、変異アレル保有群では相関を認めなかった。以上の結果より、BOSによる腎機能障害(Cr上昇)は、BOSのOCT2阻害作用に起因すると考えられる。
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Research Products
(2 results)