2021 Fiscal Year Annual Research Report
クエン酸ナトリウムを含む薬剤および服薬支援製剤の腸溶性コーティングに与える影響
Project/Area Number |
21H04188
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中川 祐紀子 金沢大学, 附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 配合変化 / クエン酸ナトリウム / ランソプラゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 経口摂取困難な患者は経管から薬剤が投与されるが、その際に複数薬剤を同時懸濁することによる配合変化が問題となる。実験過程において、クエン酸緩衝液によりランソプラゾール(LPZ) OD錠の腸溶性顆粒が水よりも早期にほぼすべて溶解する結果が確認された。クエン酸ナトリウムは添加物等で広く使用されていることから、本研究ではクエン酸ナトリウムの腸溶性製剤に与える影響を、先発品のLPZ OD錠を用いて以下の4点について調べた。 【研究方法及び成果】 ①クエン酸ナトリウムを含む薬剤とLPZ OD錠を同時懸濁し、経時的にLPZの濃度をHPLCで測定した。その結果、LPZ OD錠単独では60分経過後もLPZは検出限界以下であったが、同時懸濁では15分後から溶出した。②各種濃度やpHを変更したクエン酸緩衝液にLPZ OD錠を懸濁し、経時的にLPZ濃度を測定した。その結果、クエン酸緩衝液の濃度が200 mMまでは濃度依存的にLPZの溶出率が増加した。pHに関しては 5以下ではLPZは溶出せず、pH 6および7では溶出した。③耐酸性能の評価として、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合散とLPZ OD錠を同時懸濁し、その30分後懸濁液を0.1 M塩酸に1時間、リン酸緩衝液(pH 6.8)で1時間攪拌後のLPZの残存率を測定した。その結果、LPZ OD錠単独と比較し、同時懸濁の場合残存率は大幅に低下した。④LPZ OD錠をクエン酸ナトリウムを含むとろみ剤と混合し、その30分後に0.1 M塩酸に1時間、リン酸緩衝液で1時間攪拌した結果、LPZの残存率はLPZ OD錠単独と比較し低下した。 本研究により、クエン酸ナトリウムは腸溶性コーティングを早期に破壊し、耐酸性能を低下させる可能性が示唆された。この反応は、懸濁液およびとろみ剤のpHやクエン酸ナトリウムの濃度が関与することが考えられた。
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