2021 Fiscal Year Annual Research Report
変異PC12細胞を用いた抗がん剤による報酬機能障害における細胞機能変容の解明
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21H04198
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江角 悟 岡山大学, 大学病院, 薬剤主任
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 報酬機能 / シスプラチン |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤には副作用として 抑うつ、不安などの精神症状が認められる一方で、抗がん剤が報酬機能障害を生じる神経学的メカニズムは未だ十分に明らかでない。P-糖たんぱく質や血液脳関門の存在から、末梢に投与された抗がん剤が直接、中枢神経に影響を与えることは考えにくく、末梢で生じた何らかの因子が血液を介して中枢神経に影響すると考えられる。 これまでに申請者は、抗がん剤の反復投与が神経細胞数を変化させることなく、脳内ドパミン合成の律速酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ発現量を低下させることを明らかにしている。すなわち、末梢における抗がん剤の反復投与は中枢神経細胞を直接傷害するよりも血液などの液性因子を介して間接的に中枢神経の細胞機能を変化させる可能性がある。 以上のことから申請者は、報酬機能障害と細胞機能変化の関連性を抗がん剤の影響を排除して評価するためには、抗がん剤血中濃度トラフ時のラット血漿や脳脊髄液を神経モデル細胞に暴露し、細胞に与える影響を評価することが最適であるとの発想に至った。 そこで本研究では、NGF低感受性に変異させ、ラット血漿中のNGFの影響を小さくしたPC-12細胞を用いて抗がん剤であるシスプラチンによる報酬機能障害ラットにおける血液中液性因子変化の影響を検討することとした。 抗がん剤そのものによるPC-12細胞への影響を評価するために、低濃度のシスプラチンがPC-12細胞に与える影響を評価したところ、細胞数には影響がみられなかったが細胞が巨大化し、何らかの影響を与えることが明らかとなった。細胞の巨大化の影響について文献調査や検討をおこない、研究期間が満了となった。
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