2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症関連サイトカイン挙動に着目したニボルマブの血清中濃度と治療耐性化との関係解析
Project/Area Number |
21H04199
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
阿部 一樹 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / 炎症関連サイトカイン / 耐性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がん患者におけるニボルマブ治療の耐性化が問題視されている。治療の耐性化には、T細胞のがん免疫反応を制御する炎症関連サイトカインが関係していると考えられる。これまでの研究で、血清中ニボルマブ濃度と炎症関連サイトカイン濃度との間に相関性を認めたことから、血清中ニボルマブ濃度の低下が炎症関連サイトカイン濃度の変動を介して治療耐性化に関係していると考えた。そこで、本研究では、がん患者におけるニボルマブ及び炎症関連サイトカインの血清中濃度とニボルマブ治療の耐性化との関係性を調査した。 腎細胞がんと診断され,ニボルマブによる治療を受ける患者のうち、文書による同意の得られた36名を対象とした。ニボルマブの初回投与から治療終了までの各投与直前に採取した血清を用いて、ニボルマブ濃度および炎症関連サイトカイン濃度を測定した。治療効果の判定は、RECISTに基づいて行い、初回効果判定の結果がSDまたはPRであった患者を解析対象とした。 血清中ニボルマブ濃度が高値の群で無増悪生存期間(PFS)が長い傾向にあったが有意ではなかった。また、血清中free TGF-TGF-βの濃度が低い患者は、高い患者に比べてPFSが長い傾向にあったが有意ではなかった。一方、IL-6高値群のPFSは、低値群に比べて有意に短かった。 本研究では、炎症性サイトカインであるIL-6がニボルマブ治療におけるPFSに影響することを確認した。これは、炎症性サイトカインによるがん免疫反応の抑制がニボルマブ治療の耐性化に影響したことを示唆する重要な結果である。炎症関連サイトカイン濃度のモニタリングにより、治療効果の予測や耐性化の回避に繋がるため、本研究の意義は大きい。
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