2021 Fiscal Year Annual Research Report
血中トシリズマブ濃度に基づいたCYP3A活性変動の定量評価と薬物間相互作用の解明
Project/Area Number |
21H04203
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
望月 啓志 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トシリズマブ / CYP3A / 4β-OHC |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)患者においてインターロイキン-6(IL-6)経路を阻害するトシリズマブは抑制されていたCYP3A活性を正常化し、CYP3A代謝薬物の血中濃度を低下させることが予想される。またトシリズマブの薬物動態は個人間差が大きく、そのIL-6阻害効果は血中濃度に依存する。従って、トシリズマブ投与RA患者におけるCYP3A活性は、トシリズマブの血中濃度に依存して変動するのではないかと仮説を立て、これを検討することを目的とした。 RAに対してトシリズマブを静脈内投与(7名)又は皮下投与(24名)された患者31名を対象とした。トシリズマブは本研究室で確立したLC-MS/MS法を用いて、IL-6濃度は市販のELISAキットを用いて測定した。CYP3A活性の内因性マーカーである4β-水酸化コレステロール(4β-OHC)はLC-MS/MS法を用いて、25-水酸化ビタミンD3(25-OHD)は市販のELISAキットを用いて定量した。トシリズマブ及びIL-6の血中濃度とCYP3A活性内因性マーカーの関係性をスピアマンの順位相関係数により評価した。 血中トシリズマブ濃度と4β-OHC(r=0.271、p=0.140)及び25-OHD(r=0.086、p=0.646)の間に相関性は見られなかった。IL-6と4β-OHC(r=-0.082、p=0.660)及び25-OHD(r=-0.128、p=0.492)の間にも相関性は見られなかった。 本研究より、トシリズマブ使用中のRA患者において、トシリズマブ及びIL-6の血中濃度はCYP3A活性に影響しないことが示唆された。しかし、CYP3A活性にはCYP3A5の遺伝子多型や併用薬など様々な要因が関連している。これらの患者背景を統一した上で更なる検討が必要となる。
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