2021 Fiscal Year Annual Research Report
モデル動物を用いた筋拘縮型エーラス・ダンロス症候群の骨・関節病変発症機序の解明
Project/Area Number |
21H04238
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高橋 有希 信州大学, 医学部, 研究支援推進員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋拘縮型エーラス・ダンロス症候群 / Chst14KOマウス / 骨病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋拘縮型エーラス・ダンロス症候群(mcEDS)では進行性の骨・関節病変(変形、弛緩、脱臼)が認められ、運動機能障害による患者のQOL 低下が生じることから、発症機序の解明と治療法の開発が急務である。mcEDS ではCHST14 の病的変異により、コラーゲン細線維の会合に必須な酵素(D4ST1)の活性が消失する。申請者らは、mcEDS の疾患モデル動物としてChst14 欠損マウス(Chst14-/-)を用いて骨の解析を進めており、これまでに脊椎後彎の増強と大腿骨の骨密度と剛性の有意な低下を突き止めた。そこで本研究では、脊椎変形や骨密度・剛性低下の原因を解明することを目的に透過型電子顕微鏡による大腿骨皮質骨の骨微細構造の観察、血中骨代謝マーカーの測定、大腿骨海綿骨の骨形態計測を行った。 透過型電子顕微鏡による骨微細構造の観察では、Chst14-/- でコラーゲン細線維同士の会合不全が認められた。ELISA法による血中のオステオカルシン(骨形成マーカー)の測定では測定値が検出限界以下となり測定不可であった。TRACP-5b(骨吸収マーカー)の測定では野生型とChst14-/- で有意差は認められなかった。骨形態計測では野生型、Chst14-/- 各5匹で検討した結果、Chst14-/- 3匹で標識剤が1種類しか観察されず、動的パラメータの比較は困難であった。静的パラメータの比較ではChst14-/- で骨面と骨梁数の有意な低下が認められた。 以上の結果からChst14-/- での骨密度・剛性低下の要因として骨梁数の低下やコラーゲン細線維の会合不全等による骨量、骨質の変化が示唆され、それにより骨変形が生じている可能性が考えられた。
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