2021 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈病変関連遺伝子多型に基づく虚血性心疾患の病態解明と剖検時診断マーカーの開発
Project/Area Number |
21H04246
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Research Institution | 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
櫻田 誠 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所, 兵庫県警察職員研究職
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心臓突然死 / 動脈硬化 / FURIN |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】心臓突然死の主要な原因の一つに冠動脈疾患(Coronary artery disease: CAD)がある。死因診断に有用なバイオマーカーの開発を目指し、CAD患者についてゲノムワイド関連解析(GWAS)によって明らかとなった一塩基多型(SNP)とCAD関連遺伝子発現産物の解析を行い、CADの病態を明らかにすることを目的とする。本研究では、遺伝学的にCADと強い関連が示唆されるFURINについて、SNP遺伝子多型、心筋、冠動脈におけるFURIN発現とマクロファージの病態からCADの要因について検討を行った。 【研究方法】死後48時間以内の法医解剖106例について、大腿静脈血、心筋及び冠動脈を試料とした。大腿静脈血からDNAを抽出し、Taqman法によりFURIN SNP(rs17514846)遺伝子型を決定した。心筋および冠動脈は、組織標本を作製し、FURIN抗体を用いた免疫染色により局在を検討した。また冠動脈硬化については、HE染色及びCD11抗体による免疫染色を行い、Stary分類に従って病理組織学的に動脈硬化グレードを判定し、FURINの発現との関連性について検討した。 【結果と考察】106例全てについて、rs17514846遺伝子型を決定した結果、AA5例、AC19例、CC82例であった。動脈硬化に対するrs17514846の疾患感受性アレルはAアレルと考えられているが、Stary分類のV型、VI型に該当するAA症例は認められず、rs17514846とCADとの有意な関連性は認められなかった。免疫染色の結果、FURINは、血管平滑筋細胞、内皮細胞、脂肪細胞、マクロファージで観察された。マクロファージは高度に動脈硬化の進行した病変部位に多く認められ、その多くでFURINの発現が認められたことから、動脈硬化の病態形成にFURINが関与している可能性が示唆された。
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