2021 Fiscal Year Annual Research Report
腹部単純X線撮影における金属フィルターを使用した線量低減撮影法の有用性の検討
Project/Area Number |
21H04266
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
南 修平 金沢大学, 附属病院, 診療放射線技師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | X線撮影 / 線量低減 / 被ばく |
Outline of Annual Research Achievements |
腹部領域における金属フィルタを付加する被ばく低減撮影法が報告されているが,臨床での報告は少なく普及しているとは言えない.ファントム実験では腹部X線撮影において80 kV,0.2 ㎜銅フィルタを付加し,画質を維持して被ばく低減可能と報告がある.また臨床使用下では,管電圧90 kV,0.1 ㎜銅フィルタでの報告があるが,通常腹部撮影で使用する管電圧70 kV-80 kVより高いため導入するには検討を要する施設が多いと考えられる.今回,腹部単純X線撮影において,80 kV,0.2㎜銅フィルタを使用した被ばく低減撮影法の臨床使用での有用性を検討した. 2018年1月より臨床導入した銅フィルタを使用した腹部単純X線撮影について,その前後の期間において,経過観察等の目的で,銅フィルタの有無の撮影を施行した患者25名を対象とした.これらの臨床画像の使用については,本学医学倫理審査委員会の承認を得た.管電圧は80kVとし、撮影線量は自動露出機構を使用して調節した.撮影線量評価として患者入射表面線量を,撮影時の線量記録から算出した.銅フィルタなしを基準として,銅フィルタありの場合の線量低減割合を算出した.定量評価として腸腰筋と腸骨に関心領域を設定し,contrast-to-noise ratio (CNR)を計測した.視覚評価として放射線科医3名による3段階評価(評価部位:腎/腸腰筋/腰椎/腸管ガス)を行った. 結果として平均入射表面線量は銅フィルタなしの場合に0.97 mGy,銅フィルタを付加した場合で0.43 mGyとなり0.2㎜銅付加フィルタ使用によって約44 %線量が低減した.定量評価および視覚評価は銅フィルタの有無による有意差は認められなかった。以上のことから腹部単純X線撮影において,80 kV,0.2㎜銅フィルタの使用は,画質を妥協することなく被ばく低減が可能である.
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