2021 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣移植法を用いた初期胚発生における卵管微小環境の重要性についての実証実験
| Project/Area Number |
21H04279
|
|---|
| Research Institution | Juntendo University |
|---|
Principal Investigator |
黒澤 大 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 私大技術員
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | 卵管分泌糖タンパク質OVGP1 / ゲノム編集ハムスター / 不妊 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の卵管は受精・初期発生に重要な器官である。成熟卵子はその腔内で受精し、胚盤胞まで分化後、子宮に送り出される。卵管内腔を満たす卵管液には様々な液性因子が存在するが、その機能は未だ不明なものが多い。
我々は、これら因子のうち卵管から分泌され配偶子を修飾する糖タンパク質遺伝子Ovgp1欠損（KO）ハムスターをゲノム編集により作成した。このモデル動物の受精卵は、着床はするものの、初期発生の段階で成長が停止、即ち最終的に胎生致死となることが明らかとなった。
本研究では、この表現型が卵管におけるOvgp1欠損によるものであることを確認するため、OVGP1を発現している野生型(wt) 個体にKO卵巣を移植することを試みた。
実験には雌KO、および同系の雌wtハムスターを用いた。麻酔下でrecipientの卵巣嚢から卵巣を取り残しが可能な限り少なくなる様に摘出し、そこにdonorからの卵巣を移入した。まず雌KOの卵巣を雌wtに移植し雄KOと交配させたところ、出産に至り、それら産仔にKO個体を確認した。逆に雌wtの卵巣を雌KOに移植し雄wtと交配させたところ、出産した個体はいなかった。このように、KO卵巣を移植したwtではKOが生まれ、wt卵巣を移植したKOでは産仔が得られなかった。これらのことから、Ovgp1 KO動物の不妊は、卵管の機能不全に起因することが強く示唆される。
今後は質量分析法を用いて、このモデル動物卵管の初期胚発生異常に関連する分子（群）を探索し、その表現型の分子機構解明を目指す。
|
