2021 Fiscal Year Annual Research Report
RPA法による迅速な男性成分スクリーニング法の確立
Project/Area Number |
21H04294
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Research Institution | 石川県警察科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
久保 誠司 石川県警察科学捜査研究所, 公務員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RPA法 / ダイレクト法 / 男性DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
男性特異的なDNAのスクリーニングは、性犯罪等の法科学鑑定において重要である。効率的に鑑定を行うためにはスクリーニング検査に迅速性・簡便性が求められるが、一般的に用いられているqPCR法は時間と手間がかかる。本研究では、等温増幅(39℃)かつ短時間(20分)のDNA検出法であるRPA法を利用し、男性特異的なDNAの迅速・簡便な検出法の確立を目的とした。 RPA法の最適化のため、男性特異的なY染色体上のDNAを指標として、6つの検出用プライマー(Forward×3、Reverse×3)を設計した。これら9通りのセットでRPA法を実施し、最も早く男性DNAを検出できる組み合わせを最適な条件とした。検出感度を検討した結果、10 pgまでの男性DNAを検出できた。また、男性DNAと女性DNAの混合DNA試料を検査した結果、女性DNAが2000倍量含まれていても男性DNAを検出できた。 次に、PCR法の阻害剤として知られているフミン酸及びヘマチンを用いてRPA法の阻害耐性を検討した。その結果、1000 ng/μLのフミン酸、500 μMのヘマチンが含まれていても男性DNAを検出でき、RPA法は阻害に強い検出系であることが確認された。さらに、簡易的なDNA抽出法(水酸化ナトリウムによる溶解と5分間の加熱処理)を採用し、ダイレクトRPA法の適用可能性を検討した。その結果、ダイレクトRPA法により体液試料(血液、唾液、精液)から30分以内に男性DNAを検出できた。 以上の結果から、RPA法が男性DNAの迅速・簡便なスクリーニング検査法として有効であることを明らかにした。
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