2021 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺がん放射線治療におけるカテーテル挿入に代わるMRIによる尿道同定の実現
Project/Area Number |
21H04296
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 裕 名古屋大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射線治療 / MRI / 前立腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、前立腺がんの放射線治療の中で最も高精度な定位放射線治療を施行する患者を対象とした。前立腺がんの定位放射線治療では、血尿などの副作用を抑えるため前立腺内尿道の線量制御が重要であり、そのためには前立腺尿道の視覚的同定が求められる。現在カテーテル挿入下でのCTによる同定が主流であるが、患者への身体的・精神的負担が大きい。そこで今回MRIを用いてカテーテル挿入を行わずに尿道の同定を行うことが可能か調査することを目的とした。さらに、実際の放射線治療は複数日実施するため、その期間内の前立腺内尿道の位置変動も重要な因子になるため、カテーテル挿入CTとカテーテル非挿入MRIでの前立腺内尿道の日間変動を調査した。 初めに前立腺内尿道の同定に適したMRIの撮像条件を決定するため、ファントム実験により撮像条件の最適化を行った。購入したホットスターラーを使用し、MRIでの人体前立腺組織や尿道と類似したMR信号を発生させる模擬溶液を調製したのち、種々の撮像条件にて比較検討を行った。 次の段階として、臨床検査において基礎実験で最適化した3D-T2強調画像と、先行研究で尿道同定に用いられている2D-T2強調画像との比較を行い、新たに決定した撮像方法が有意に尿道同定に適していることを明らかにした。また、前立腺内尿道の位置変動に関して、カテーテル挿入CTよりもカテーテル非挿入MRIで日間変動が小さいことを明らかにした。これらの結果から、MRIを用いて尿道同定を行うことで、カテーテル挿入の必要がなく日間変動も小さいことから、患者への負担が少なく正確に放射線治療を実施できる可能性が示唆された。 成果報告については、日間変動に関する結果を国内学会で発表しており、現在研究全体の内容を論文執筆中で数か月以内の投稿を予定している。今後はさらに正確な尿道同定を可能とする撮像方法の開発を目指す。
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