2021 Fiscal Year Annual Research Report
中学校保健学習における、ペットボトルを用いた心肺蘇生法授業と技能評価の研究
Project/Area Number |
21H04307
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関野 智史 筑波大学, 附属中学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保健学習 / 心肺蘇生法 / 技能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中学校保健分野における傷害の防止の単元中、応急手当の心肺蘇生法において、胸骨圧迫の技能習得にペットボトルを用いた授業を展開し、その教材効果と技能の評価について検討を行った。 中学校2年生の5クラス約200名を対象とし、事前の知識学習の授業と技能習得学習の授業をセットにして実施した。また、授業実施から約1ヶ月後に、授業で扱った知識について確認する小テストを実施し、その定着度を調査した。胸骨圧迫の技能評価の方法としては、教師が技能評価項目を設定したチェックリストを作成し、そのリストをもとに、グループ内で評価者と実施者との役割を作り、生徒間での相互評価を行わせた。 評価者の評価と実施者の自己評価の相関を調べたところ、これらには正の相関が見られ、技能習得とその評価において、相互評価の有用性が明らかになった。 一方で、知識の定着状況については、概ね各項目の正答率の平均が7割弱であり、知識の定着度合いについては一定程度の定着が認められ、知識理解の授業効果が認められると考えられる。 技能習得の授業に際して記載させた自由記述において、評価者が持つ評価の視点は、評価項目に応じた、「リズム」や「強い」、「一定」、「テンポ」などの内容が記述されており、教師が評価項目として着目して欲しい内容が評価者に対して正しく伝わっていた。また、実施者が意識した点についても提示された評価項目に関連した内容であり、正しく技能習得に従事していた。その反面、実施者が難しいと感じた点は、評価項目にも関連する、「押す強さ」や「リズム」・「テンポ」、胸骨圧迫を継続するための「力」などであった。 本研究により、ペットボトルを用いた授業においても、一定の授業効果が見られ、技能評価においては、生徒相互による技能評価活動の有効性が示唆された。加えて、知識の定着状況から見ても、応急手当を学ぶための1つの授業モデルとして提案できる。
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