2021 Fiscal Year Annual Research Report
動物実験施設における動物福祉と環境保全に配慮した実験用マウス飼育管理方法の最適化
Project/Area Number |
21H04333
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石原 すみれ 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 床敷 / バージンパルプ / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】近年国際社会が提唱するSDGsは、廃棄物削減の取り組みを求めている。 動物実験施設である本施設での動物飼育用床敷の廃棄量は1日平均90リットルのゴミ袋10袋と非常に多い。そこで、本研究では、動物実験施設において動物福祉に配慮するとともに、廃棄物削減を含め環境保全に配慮した実験用マウスの飼育管理方法の最適化について検討した。 【研究成果】古紙、牛乳パック損紙、バージンパルプ、セルロース、トウモロコシ穂軸、木材(トウヒ)、木材(ポプラ)のそれぞれの原材料で製造されている7種類の市販の床敷を比較した。まずそれぞれの床敷の環境への配慮について販売元に確認したところ、古紙は配合率90%以上の再生紙、牛乳パック損紙、トウモロコシ穂軸、トウヒは、廃棄予定の余剰部材を原材料としていること、またバージンパルプ、セルロース、ポプラは、古紙のような再利用型や牛乳パック損紙などのような余剰部材の再利用型ではないものの、環境保全に配慮していることが確認できた。 次に7種類の床敷において、ICR雄マウス5匹を飼育しているケージ内のアンモニア濃度について調べたところ、5mm角(厚さ1.5mm)の小紙片であるバージンパルプの床敷がアンモニア濃度の上昇を最も抑えることができた。これにより一定期間内でのケージ交換の頻度、床敷廃棄量をいずれも減らせることがわかった。 そこで、ケージ交換頻度と床敷廃棄量にコストを加えた3つのパラメーターで素材が異なる7種類の市販床敷の順位付けを行い、それに基づき点数化した。その結果、バージンパルプ製が最も高得点となったが、一方でバージンパルプ製床敷は繁殖には不向きであることが知られており、今後は営巣材を入れた場合や多種類の床敷を併用した場合のケージ内アンモニア濃度、廃棄量、繁殖への影響を調査し、適切な飼育環境の確保と環境保全にも配慮した飼育管理法について検討したい。
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