2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H04335
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小坂 尚樹 東京大学, アイソトープ総合センター, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 短寿命アルファ核種 / 放射線管理 / アスタチン211 |
Outline of Annual Research Achievements |
211Atはハロゲン族に属する元素であるのでヨウ素のように揮発しやすい性質があると考えられる。そのため、空気中に飛散して作業者が吸入することによる内部被ばくや身体汚染に注意が必要である。短寿命α線核種の実験計画されている研究グループに協力を頂き、実験中の測定を行った。実験では211Atの動物実験を行うため、実験者へ提案する放射線防護装備を装着し、実験中の空気中放射性物質濃度測定や放射線監視によるモニタリングを実施した。 211Atは、バイアル中に固体蒸着の状態で納品された。まず、ドラフト内部で開封して、気化している211Atを除去した。その後、固体を溶解して抗体標識および動物投与を行った。ガスモニタによって、実験室内の空気中濃度の変動を確認した。実験者が着用した放射性ヨウ素除去マスク及び市販活性炭マスク、ダストサンプラーによるHE-40T、CP-20、CHC-50 TEDA添着付フィルターから、211Atを使用した動物実験中に飛散した211Atを捕集してGe半導体測定器で定量した。 ドラフトから近い位置の実験者のマスクおよびフィルターから有意な放射能が検出された。ガスモニタでは、標識作業開始時に急激な濃度上昇後、ゆっくりと減少したこと、動物投与作業時にはガスモニタの空気放射能濃度の上昇が見られなかった。つまり、室内空気に飛散したものは、ドラフト内部で開封した際の気体の一部が主と考えられる。 今回の実験作業では液体からの飛散は殆どなかったこと、また、ドラフトから室内空気への流入率が明らかに保守的な仮定であることを示し、流入率を定量的に求める方法を示した。しかし、ドラフトを使用しても、その距離によっては、飛散したものが有意に測定された。ドラフト内部の排気口に近い部分でバイヤルの開封をするなど、さらに室内空気への流入を抑える工夫が必要と思われる。
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