2021 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカにおける政治的地殻変動:政党再編と政策的収斂
Project/Area Number |
21H04388
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 文明 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 名誉教授 (00126046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 敬和 南山大学, 国際教養学部, 教授 (00454405)
荒木 圭子 東海大学, 教養学部, 教授 (00512633)
宮田 智之 (近藤智之) 帝京大学, 法学部, 准教授 (00596843)
平松 彩子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00803884)
前嶋 和弘 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (10350729)
西川 賢 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10567390)
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
梅川 健 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (40635033)
中山 俊宏 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (60439560)
森 聡 法政大学, 法学部, 教授 (60466729)
梅川 葉菜 駒澤大学, 法学部, 准教授 (60780517)
岡山 裕 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (70272408)
清原 聖子 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任教授 (70372422)
松井 孝太 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (70733773)
渡辺 将人 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (80588814)
中林 美恵子 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授(任期付) (90371187)
菅原 和行 福岡大学, 法学部, 教授 (90433119)
小浜 祥子 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (90595670)
杉野 綾子 武蔵野大学, 法学部, 准教授 (90911850)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 現代アメリカ政治 / 分極化 / 政党再編成 / 政策的収斂 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、アメリカの民主党と共和党の間には政策的収斂という現象が見られる。イデオロギー的に対立するはずの両党が、保護貿易、国内のインフラ投資、財政規律の緩和といった政策で合意するようになっている。現代のアメリカ政治は、多くの場合イデオロギー的分極化と党派対立構造という枠組みから理解されてきたが、この枠組みでは政策的収斂を説明できない。 そこで本研究では、アクターである政党と利益団体・政治運動の連合に変化が生じていること、分極化の中で進んだ政治制度の変容が従来は不可能であった少数のアクターによる政策変更を可能にしたことを示し、具体的な政策分野において、どのように政策的収斂が生じたのかを解明する。すなわち、現代のアメリカに政党再編成および政治構造の転換が生じつつあり、それが政策的収斂という新しい現象を引き起こしていることを実証する。 本研究プロジェクトでは、近年のアメリカにおける政治構造の変容を、アクター、制度、政策の3つのレベルから分析するために、対応する3つの研究班を設けている。政党再編成グループ、制度グループ、政策グループである。 5年の研究プロジェクトの初年度である2021年度には予備的調査を実施し、まずは各グループ内で議論を重ね、その後3グループ合同での研究会を複数回実施し、相互にコメントすることで研究を進展させた。さらに、この成果を久保文明・中山俊宏・山岸敬和・梅川健編『アメリカ政治の地殻変動:分極化の行方』(東京大学出版会、2021年)として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は5年のプロジェクトであり、初年度には本調査に入る前段階としての予備的調査を予定していた。具体的には、現代アメリカにおけるイデオロギー的分極化についての文献調査と、日本においても入手可能な資料に基づいた調査である。初年度の研究計画は、コロナ禍の状況によって、アメリカでの調査(資料調査、インタビュー調査、フィールド調査など)が困難になった場合にも研究を進めることができるように対応したものであった。事実、初年度である2021年度には、アメリカに渡航して調査を実施することは困難になったため、先に述べた予備的調査を実施した。 この予備的調査において、本研究プロジェクトのメンバーはそれぞれの分担領域において著しい研究成果をあげた。そこで早速、それらの成果をまとめ、久保文明・中山俊宏・山岸敬和・梅川健編『アメリカ政治の地殻変動:分極化の行方』(東京大学出版会、2021年)として出版した。当初の計画以上に研究が進展していると判断する所以である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2022年度には、各グループによる文献調査に加え、新型コロナウイルスの感染状況次第で、アメリカでの実地調査(インタビュー調査、フィールド調査、資料館での調査)を行う。各グループの研究成果は東京で開催する研究会において相互に確認し、研究プロジェクト全体として成果は論文等で発表する。研究会のために国内旅費を計上する。各グループの具体的な調査・分析対象は以下の通りである。 政党再編成グループでは、共和党、民主党を中心に、政党とネットワークを構築しているシンクタンク、利益団体、社会運動についての調査を行う。アメリカの二大政党である共和党と民主党の構造に、具体的にどのような変質が生じているのかを特定することを目指す。アメリカの政党、利益団体関係者へのインタビュー調査が予定されている。 制度グループでは、アメリカの政治構造の基幹をなす大統領制、議会制度、司法制度、官僚制、連邦制についての分析を進める。アメリカ各地の大統領図書館、ワシントンDCのアメリカ国立公文書館での調査を行う。 政策グループでは、政策的収斂が生じていると思われる財政政策、刑事政策、健康保険政策、移民政策と外交・通商政策について調査を進める。外交・通商政策については昨年度実施したサーベイ調査結果の分析にあたる。 各グループはそれぞれにアメリカでの調査を必要とするために、海外旅費も計上する。
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[Presentation] Crafting International Apologies that Work: A Conjoint Analysis Approach2021
Author(s)
Kohama, S., Inamasu, K., Himichi, T., Mifune, N., Ohtsubo, Y., & Tago, A.
Organizer
北海道大学社会科学実験研究センター・コロキウム
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[Book] 50州が動かすアメリカ政治2021
Author(s)
久保文明・21世紀政策研究所編著、以下分担執筆:久保文明(はじめに,序章)、梅川健(第1章)、前嶋和弘(第2,3章)、松井孝太(第4,5章)、杉野綾子(第7章)、梅川葉菜(第8,9章)
Total Pages
256
Publisher
勁草書房
ISBN
978-4-326-30302-1
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[Book] アメリカ政治の地殻変動--分極化の行方2021
Author(s)
久保文明・中山俊宏・山岸敬和・梅川健編著、以下分担執筆()内は章:岡山裕(1),梅川健(2),平松彩子(3),菅原和行(4),梅川葉菜(5),中林美恵子(6),荒木圭子(7),渡辺将人(9),宮田智之(10),松井孝太(11),前嶋和弘(12),清原聖子(13),西山隆行(14),西川賢(15),山岸敬和(16),杉野綾子(17),小濱祥子(18),森聡(19),中山俊宏(22)
Total Pages
344
Publisher
東京大学出版会
ISBN
978-4130301824
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