2021 Fiscal Year Annual Research Report
Revisiting the African states: Thinking from the perspective of rural areas
Project/Area Number |
21H04390
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
武内 進一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60450459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
網中 昭世 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究員 (20512677)
佐藤 千鶴子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究員 (40425012)
阪本 拓人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40456182)
遠藤 貢 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70251311)
佐川 徹 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (70613579)
友松 夕香 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (70814250)
楠 和樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任助教 (90761213)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 国家 / アフリカ / 政策 / 伝統的権威 / 農村 / 間接統治 / 国際関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はコロナ禍で海外渡航が困難であることを考慮し、問題意識の擦り合わせに力点を置いた。研究プロジェクトメンバー各自が文献研究を進めるとともに、研究会を3回開催し、議論を進めた。第1回(7月31日)は、武内が「アフリカ国家論の再構築―農村からの視点」と題して発表し、本研究プロジェクトにおける問題意識を提示するとともに、各委員からコメントと研究計画を報告してもらった。第2回(12月25日)には、遠藤委員、友松委員が、それぞれ「アフリカにおける国家をめぐる視座」、「ガーナの土地取引をめぐる伝統的権威の歴史的展開と魅了」と題して報告した。遠藤委員はアフリカの国家をめぐる理論的な論点整理を行い、友松委員はガーナでのフィールドワークに基づいて、チーフ制と国家の関係について論じた。第3回(3月26日)は、楠委員、武内がそれぞれ「間接統治を捉えなおす:辺境統治性の視座」、「中部アフリカ―ポストコロニアル国家の生成史」と題して報告した。楠委員の報告は、ポストコロニアル国家を考える上で最重要論点の一つである「間接統治」について、その歴史的起源に関する近年の注目すべき先行研究を紹介し、アフリカへの適用可能性を考察する内容であった。武内は、中部アフリカという領域における国家の変遷を歴史的に跡づけた報告を行った。 研究成果としては、ガーナ、南アフリカ、エチオピア等の研究者とともに、土地制度改革に関する英文研究書(Shinichi Takeuchi ed. African Land Reform Under Economic Liberalisation: States, Chiefs, and Rural Communities. Singapore: Springer.)を刊行した。国家論と深く関わる内容で、今後のプロジェクト運営において重要な指針となる成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究プロジェクトのスタート年であり、問題意識の共有を優先的に行った。3回の研究会においては、1)研究代表者である武内の認識を示し、それを批判的に検討しながら議論を進めること、2)研究分担者の研究業績をお互いに知ること、の2点を特に重視した。研究会を通じて、1)については武内の2回の報告を通じて、ある程度進んだと思われる。ただし、なお一貫性のある研究枠組みの構築には至っていない。2)については、3名の委員が発表を終了した。これまでの議論を通じて、アフリカ国家の性格を考える上での、1)植民地統治の重要性とともに、2)国際関係の重要性について一定の合意が見られた。この点は、アフリカ国家の特質をめぐるポストコロニアル期の時期区分(冷戦期、ポスト冷戦期)に関わる論点とも深く関わるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、前年度に引き続き研究分担者に国家をめぐる研究報告をお願いし、研究チームの共通認識を深める。また、アフリカ国家研究を行っている内外の研究者を招いて研究会を実施する。英文書籍刊行を通じて構築した内外のネットワークを充実させるために、セミナーやシンポジウムを積極的に実施して議論を重ねる。
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