2022 Fiscal Year Annual Research Report
コロナ禍の下での大学入試政策及び個別大学の入試設計のための総合的大学入試研究
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21H04409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉元 直樹 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (60236172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅之 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (00708703)
内田 照久 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (10280538)
西郡 大 佐賀大学, アドミッションセンター, 教授 (30542328)
立脇 洋介 九州大学, アドミッションセンター, 准教授 (50511648)
池田 文人 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (60333647)
脇田 貴文 関西大学, 社会学部, 教授 (60456861)
林 篤裕 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70189637)
小泉 利恵 清泉女子大学, 付置研究所, 教授 (70433571)
久保 沙織 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (70631943)
光永 悠彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70742295)
飯田 直弘 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (80578063)
島田 康行 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90206178)
宮本 友弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (90280552)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | 新型コロナウイルス感染症 / 大学入試政策 / 個別大学 / 入試設計 / 大学入学共通テスト / 入試広報 / アドミッションセンター / 大学入試の多様化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高大接続改革に並行して平成28(2016)年度から5年間実施された基盤研究(A)JP16H02051の後継である。進行中の改革に即応しながら方針転換までを見届け,政策にも一定の影響を及ぼした前研究課題の方法論を踏襲し,主として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延の大学入試への影響を中心に「大学入試政策の検証」「COVID-19への対応」「多面的・総合的評価の追究」「評価測定技術の追求」という4つの柱によって研究を遂行し,エビデンスを重視した対応策の提案を行うことを目指す。 令和2(2020)年1月頃から流行が始まったCOVID-19は,大方の専門家の予想に違わず,令和5(2023)年5月現在,完全とは言えないまでも一定の収束状況へと向かっている。わが国ではコロナ禍対応の下で,令和5(2023)年度入試まで3年度に渡った大学入試を経験したが,コロナそのものへの対応は一定程度のノウハウが広がってきて落ち着いてきた。むしろ,それ以外の問題も含めた総合的な課題への対応が大学入試の現場において前面に出てきた。言い換えるならば,ポストコロナと言われる時代に向けた,高大連携活動を含む大学入学者選抜の新しいモデルの構築が模索されている。 本研究では初年度に引き続き,大学入試センター理事長裁量経費との共催によって,オンラインによる「プレイバック座談会Part2 大学入試における危機対応――災いと禍を乗り越える――」を開催し,コロナ禍の入試における検証を行った。本研究の成果としては,ここまでの研究成果をまとめ,東北大学大学入試研究シリーズ第6巻「コロナ禍に挑む大学入試(1) 緊急対応編」,第7巻「コロナ禍に挑む大学入試(2) 世界と日本編」を刊行するなど,着実に成果を挙げている。なお,令和5年度の成果となるが,第8巻「再考 大学入試改革の論理」も間もなく刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に構築したウェブサイトを用いて,特に「研究報告」のページを活用した研究成果の速報を続けている。 5年計画の2年度目に当たる令和4(2022)年度においては,「コロナ禍に挑む大学入試」と題した2冊の本の刊行が主たる成果である。特に初年度に行われた2回のシンポジウムの成果が基盤となっているが,最初に刊行した「コロナ禍に挑む大学入試(1) 緊急対応編」は未曽有の大災害に直面した令和3(2021)年度入試への対応の記録として資料となり得る成果と考えている。2冊目の「コロナ禍に挑む大学入試(2) 世界と日本編」では,欧米から東アジアまでの各国の比較とわが国のコロナ対応を比較することにより,受験生を大切にする日本の大学入試の基盤にある価値観を浮き彫りとすることができたが,大きな成果と言える。それ以外の成果も含め,雑誌論文8本,学会発表13件,図書2編の成果は十分な成果と言える。そのほとんどは先述の通り,本科研費のウェブサイトで閲覧可能である。 研究分担者が一堂に会する対面での研究会の実施は叶わなかったが,年度末にオンラインによる研究会を実施して,令和4(2022)年度の研究成果に関して意見交換を行った。 COVID-19による制約された環境下にあっても活発な研究成果の発信が行われて,大学入学者選抜の現場にも一定の影響を与えている。全体としては「当初の計画以上に進展している」と評価してよいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
多くの専門家の予想通り,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は一定の収束状況を見せている。ただし,行動様式がコロナ以前に戻ることはなく,いわゆるポスト・コロナ時代における本格的な社会活動が始まった。過去2年間,本研究は主としてCOVID-19の大学入学者選抜に対する影響を中心に分析を行い,研究成果を発表してきた。今後はCOVID-19の経験を所与として,ポスト・コロナ期の大学入学者選抜のあり方に資する実践的な成果の輩出を目指して研究を進めていくことになる。 初年度は,主として大学入試が本格的にコロナ禍に見舞われた最初の年度となった令和3(2021)年度入試の検証に重点をおいてシンポジウムを2度実施した。2年目には東北大学大学入試研究シリーズの一環で2つの書籍を刊行した。2年目にはCOVID-19の影響を前提となる環境条件としながらも,より広いテーマでシンポジウムを実施した。令和5(2023)年5月末日に刊行予定の東北大学大学入試研究シリーズ第8巻「再考 大学入試改革の論理」は主として2年目の研究成果の集大成である。3年目となる令和5(2023)年度以降もそのスタンスを継承していくこととなる。 コロナ禍の収束までの行程と時期は,研究計画調書に記載した予測の通りであるが,すでにポスト・コロナ期を見据えた研究が始まっており,研究計画の転換期を迎えている。しかしながら,「入試政策検討班」「多面的・総合的評価班」「評価測定技術班」「コロナ対応検討班」という4班体制は十分機能しており,組換えを要しないことは令和4(2022)年度末の研究会で確認した。したがって,基本的には研究計画調書の記載内容にしたがって,当初の予定通りに研究を進めていく。具体的には.今年度はポスト・コロナを前提としたいくつかの調査への着手とコロナ禍対応に関連した海外調査の実施を視野に入れて研究計画を進めていく。
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