2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on a Computerized System to Make Inclusive Environment for Online STEM Education Be Barrier-Free from an International Viewpoint
Project/Area Number |
21H04415
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
山口 雄仁 日本大学短期大学部, その他部局等, 研究員 (00182428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 昌和 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 名誉教授 (20112302)
藤芳 明生 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (00323212)
渡辺 哲也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10342958)
相澤 彰子 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (90222447)
駒田 智彦 日本大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30360316)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | インクルージョン / オンライン理数系教育 / バリアフリー / 視覚障害 / 発達性読み書き障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究を校正するA~Dの各研究グループが本年度達成した研究成果の概要は以下の通りである。 Aグループの山口は,マルチメディアDAISY/EPUB3形式バリアフリー・デジタル教材制作・編集・閲覧ソフトウェアのChattyInftyにおいて,従来の多言語対応を一層発展させるため,システムを校正するモジュール全体のUnicode対応を進めるとともに,日本語版についてこれまでより一層高音質な音声合成エンジンを導入するなどの開発を行った。また駒田は,これらのソフトウェアを応用したパワーポイント用アドオンを開発し,既存のパワーポイントのスライドに含まれる数式に容易に代替テキストや音声合成による読み上げ音声を貼り付ける機能を実現して,スライドからアクセシブルなMP4動画を制作するための基板となる技術の研究開発を行った。 Bグループの鈴木は,理数系文書用OCRソフトウェアのInftyReaderにおいて,複雑なレイアウトの解析精度を向上するために機械学習用注釈付きデータベースを構築するとともに,GUIで表示される項目をメイン・プログラムとは独立なファイルとし,それら表示項目をUnicodeで記述できるようにするなど,ソフトウェアの多言語対応に関連する様々な開発を行った。藤芳は,e-born PDFからSVGとして情報を抽出するソフトウェアの新機能として,読み込みが制限されたPDFファイルを,制限を解除したPDFファイルに変換する機能の追加などを行った。 Cグループの渡辺は,視覚障害者に触図,立体模型などの触察教材を提供し,遠隔で指導するために必要な機材の使い勝手を調査した。 Dグループの相澤は,文章中に出現する数量表現を近年の深層言語モデルで扱うための埋め込み表現および評価用データセットを調査・比較し,数量表現を扱うためのTransformer型言語モデルの追加学習法などを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の令和3年度は,本課題研究を構成する各研究グループにおいて,開発中のソフトウェアの改良や関連する調査・研究については,概要に示した通り概ね順調に実施した。実用化という観点でも,たとえばInftyReaderの多言語対応については,ベトナムとフランスそれぞれの障害者支援団体と協力し,概要で述べた新たに開発した多言語対応GUIの機能に基づいて,実際にフランス語版GUI,ベトナム語版GUIを制作し,利用者がソフトウェア開発者の手助けなしに自分の言語用にGUIをカスタマイズできることを実証した。 一方で成果報告という観点では,本年度は引き続きコロナ禍の影響により海外出張が困難で,研究発表の機会も例年に比べてきわめて限られていたため,例年各自それぞれ数件程度は行っている学会・研究集会における成果報告が,あまり実施できなかったことは少なからず遺憾である。令和2年度は国際研究集会DEIMS2021を令和3年2月に開催したが,令和3年度は会場の問題などもあり,定例の国内研究集会も開催できなかった。山口・鈴木・駒田は令和4年3月に米国カリフォルニアで開催された国際会議に論文投稿し,査読の結果採択されていたが,リモートでの発表はできないということになり,コロナ禍での海外渡航も制限され,残念ながら発表をあきらめざるを得なかった。次期計画で述べるように,コロナ禍の状況にもよるが,令和4年度は国内研究集会開催を含め,より積極的に研究成果報告を行う予定である。 なお広報活動としては,ベトナムの参加者を対象としたオンライン講習会を2回,InftyReaderを利用した障害者向け教材の製作講習会と,視覚障害者を対象とするChattyInfty利用講習会を実施し,技術の普及に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
課題研究第2年度の令和4年度はそれぞれの研究グループごとに次の分担で調査・研究開発を行う。これらを統括する作業は,分担者と協力して代表者の山口が行う。また,年度内に研究成果の報告と研究交流のため,国内研究集会「情報アクセシビリティをめぐる諸問題に関する研究集会」を開催するとともに,これまでコロナ禍で実施できなかった海外での研究成果報告も実施する予定で,実際,山口・鈴木・駒田はイタリアで7月に開催される国際会議にすでに2件の論文が採択されている。 Aグループの山口はこれまでの科研費課題研究で開発したマルチメディアDAISY/EPUB3形式バリアフリー・デジタル教材制作・編集・閲覧ソフトウェア, ChattyInftyとChattyBooksを多言語かつオンライン対応にするため,システム全体をUnicode対応にする等,要素技術のいくつかを抜本的に改良する研究開発をさらに進める。駒田はパワーポイント理数系コンテンツのアクセシビリティ向上を実現するため,必要なソフトウェアの詳細な仕様を決定し,本格的な開発に着手する。 Bグループの鈴木は理数系文書(印刷ないしPDF)をアクセシブルな形式に変換するソフトウェア, InftyReaderに関連する技術開発,特に多言語化・オンライン化に引き続き取り組む。藤芳はe-born PDFからの情報抽出に加え,新たにPDFを利用しやすいよう加工する技術の開発に取り組む。 Cグループの渡辺は従来,点図などの触図で提供されてきた説明図を,3Dプリンタによる立体図で提供することにより,児童生徒の理解力が向上することを,(簡易)実験を通じて検証する。 Dグループの相澤は理数系コンテンツの理解支援の実現に向けて,引き続き文章中に出現する数量表現の抽出と分類手法の研究に取り組むとともに,数学的知識の直感的理解の支援に関する調査を行う。
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Remarks |
The 4th International Workshop on "Digitization and E-Inclusion in Mathematics and Science 2021" (DEIMS2021) 18-19 February 2021 at Nihon University in Tokyo, Japan.
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Research Products
(6 results)