2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum-classical hybrid quantum computing for quantum many-body systems
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21H04446
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柚木 清司 国立研究開発法人理化学研究所, 量子コンピュータ研究センター, チームリーダー (70532141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松枝 宏明 東北大学, 工学研究科, 教授 (20396518)
上田 宏 大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任准教授(常勤) (40632758)
曽田 繁利 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 技師 (60466414)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 量子計算 / 量子-古典ハイブリッド計算 / 量子多体系 |
Outline of Annual Research Achievements |
変分原理に基づく変分量子アルゴリズムの中で、現在、最も盛んに研究されているものがVariational Quantum Eigensolver (VQE)と呼ばれる変分法である。変分量子状態は(デバイス技術の制限から)1qubit操作と2qubit操作からなる量子ゲートで構成される量子回路で表し、1qubit操作であるqubitの回転角を変分パラメータとして、変分エネルギーが最低になるように変分パラメータを最適化する。変分エネルギーは量子計算機で、変分パラメータの最適化は古典計算機で行う。ゲート数を増やすとどんな量子状態も表現できることが数学的に証明されているが、実際は、欲しい精度を達成するためにはゲート数が大きくなりすぎるため、変分パラメータの最適化自体が困難になる問題がある。この問題をVQEの範疇で解決するため、本年度は、1) ハミルトニアンの対称性等の制限を課した変分量子回路構築、2)物理状態を反映した量子回路構成、及び3)変分パラメータ最適化法の改善 を行なった。特に1)に関しては、ハバード模型の基底状態計算に対して、並進対称性、スピンSU(2)対称性、及び電荷SU(2)対称性を考慮したVQEアルゴリズムの提案を行なった。これを、Krylov部分空間法に応用することで、4x2サイトに対するハバード模型の基底状態計算を古典計算機を用いて実行した。同時に、変分パラメータの最適化に関して、natural gradient法を用いることでコスト関数である変分エネルギーの変分パラメータ微分が消失しにくくなることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染による入国制限などの影響によりポスドク雇用が多少遅れたが、変分原理に基づく変分量子アルゴリズムの提案などで成果をあげた。
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Strategy for Future Research Activity |
VQEは、性質の分かったハミルトニアンに対しては有効であるが、任意のハミルトニアンの基底状態を記述する量子回路を構築するためには、闇雲に準備した変分量子回路を用いるのではなく、ある原理・原則に従って量子回路が構築できなければ現実的でない。そこで、本課題では量子断熱原理に基づく量子アルゴリズムを開発し任意のハミルトニアンに対する基底状態を記述する量子回路構築を目指す。これは、組合せ最適化問題に応じたイジング模型を量子断熱的に量子回路で計算した方法(quantum approximate optimization algorithm, QAOA)を基にしている(arXiv:1411.4028)。ここでは量子断熱発展に現れる時間を離散化し、その離散化された時間を変分パラメータとして扱うことで、量子断熱過程の経路自体を変分原理により決定する。研究代表者らは、最近、この量子アルゴリズムを一次元自由フェルミオンに応用し、局所量子ゲート(1qubit及び2qubit操作)で構成されるLieb-Robinson限界で決まる最小数の量子ゲートを有する量子回路で基底状態が厳密に記述できることを示した。また、この量子回路で記述される量子エンタングルメントを解析した結果、エンタングルメントエントロピーが(1+1)次元共形場理論で予想されるものと同じであること(ただし、系のサイズに対応する量が量子ゲート層数に置き換わる)を明らかにした。一次元自由フェルミオンは相関長が無限の典型的な臨界系であるがその他の系で量子回路構成がどのようになるかを調べることは基礎学理的にも興味がある。そこで、この方法を例えばトポロジカル的性質が断熱過程の始・終状態で異なる場合に対するQAOAに基づく量子アルゴリズムの開発などを行う。
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Research Products
(10 results)