2022 Fiscal Year Annual Research Report
先端アクアプラズマプロセスによる環動高分子を用いた革新的タフコンポジットの創製
Project/Area Number |
21H04450
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺嶋 和夫 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30176911)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | プラズマプロセス / 複合材料 / 液中プラズマ / アコーステイックエミッション / その場SEM観察 / 環動高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの2年目にあたる2022年度は、無機フィラー粒子として、高い熱伝導度を誇る六方晶窒化ボロン(hBN)、カーボンナノ材料(グラーフェンナノプレート(GNP)、カーボンナノファイバー(CNF))を用いた、高い熱伝導性と強靭性を有した高熱伝導性フレキシブル複合材料の開発をプロセス、構造・組織、物性の相関関係の理解を目指し研究を進め、主に以下の2つの研究成果を収めた。 ①hBN粒子に対して、ヒドロキノン水溶液中プラズマ処理による表面アモルファスカーボン層の形成(ハイブリッドナノフィラー化)とそれによる粒子表面特性の改善を試みた。形成したカーボン層はその表面電電位によってhBN粒子の分散性を改善させるだけでなく、カーボン層を介したイソシアネート基等の官能基の修飾も可能にすることを明確に明らかにした。さらに、このハイブリッドナノフィラーと環動高分子(ポリロタキサン(PR))を結合させて作製する架橋フィラーー複合材料の創出に成功した。本架橋フィラー複合材料はhBN由来の高い熱伝導性を維持しつつ、表面修飾官能基が強固なフィラー/ポリマー間相互作用をもたらすため、併せてポリマー間架橋濃度を調整することで強靭・柔軟なコンポジットを開発することが期待される。 ②ナノカーボンナノ材料(GNP、CNF)に液中中プラズマ処理を施した無機フィラーを用いた環動高分子基複合材料の破壊過程のその場観測を、insituSEM観察、および、アコースティックエミッション (AE) 法により行い、各種のプロセス条件による母材や表面改質の有無、粒子形状による破壊挙動の違いが確認され、力学特性との相関性が確認された。ここれら一連の結果を通通じて、本複合材料のさらなる強靭化において、粒子充填下の複合材料に対しても環動高分子(PR)の滑車効果を強く発現させて亀裂の進展を鈍化させることの重要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな複合材料の設計指針の提案と実証などの成果を収めつつある本研究プロジェクトは、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、プロセス、構造組織、物性の立場からその相互関係を明らかにし、より高い特性の複合材料の設計、実現を目指す。
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Research Products
(9 results)