2023 Fiscal Year Annual Research Report
地球と宇宙の時空計測の地平を拓く超広帯域大気スペクトル計測システムの開発
Project/Area Number |
21H04524
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
氏原 秀樹 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (40399283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 隆一 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁波標準研究センター, 研究マネージャー (40359055)
関戸 衛 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁波標準研究センター, 研究マネージャー (60359057)
宗包 浩志 国土地理院(地理地殻活動研究センター), その他部局等, 研究室長 (50370812)
小林 知勝 国土地理院(地理地殻活動研究センター), その他部局等, 研究室長 (40447991)
宮原 伐折羅 国土地理院(地理地殻活動研究センター), その他部局等, 技官(その他) (90825457)
寺家 孝明 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 助教 (40425400)
小山 友明 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 特任専門員 (70425403)
竹内 央 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (90329029)
今井 裕 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 教授 (70374155)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 水蒸気 / 電波天文 / 広帯域 / VLBI |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は各研究機関が保有する様々なアンテナ(電波望遠鏡)に適合する広帯域フィードと受信機を開発し、VLBI観測の誤差要因となる大気中の水蒸気量を観測と同時かつ同一視線で精密測定することである。この要となる16-64GHzの広帯域フィードは、要求されるビーム幅がそれぞれ異なる各機関の電波望遠鏡に適合可能であることを確認した。VLBI観測での実証のために国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45mアンテナの開発プロポーザルに応募し、採択された。2024年度夏から始まる実証実験を目指して本課題で開発した広帯域フィードと受信機を45mアンテナに適合するように立命館大学にて改修を始めた。 実証実験は45mの水素メーザが故障していたこともあり、まずはNICT小金井本部の2.4mや11mと国土地理院石岡局、国立天文台のVERA20mアンテナや水沢10mアンテナの組み合わせを予定していた。しかしNICTは2つとも駆動系が故障、45mは水素メーザの代わりにOCXOで短時間のVLBI観測を目指す提案があったこと、JAXAの臼田10mアンテナが使用可能となったため本年度は実証実験を行わず、45mアンテナを主体とした計画に変更して準備を進めることとした。VLBI観測の感度はアンテナの面積ではなく基線を構成する2つのアンテナの口径の積に比例するので、45mの参加は感度面で有利となるからである。 国立天文台水沢VLBI観測所は解析用ノートPC、データ記録用ストレージを整備した。国土地理院では実証計画の検討、JAXAは10mアンテナの復旧と調査を行った。鹿児島大は比較のためにVERA入来局の既存の帯域の狭い水蒸気ラジオメータで定常的にデータを取得すべくプログラムの改修と、立命館大学と共に45mでの実験準備を進めた。 天文学会、電子情報通信学会、測地学会、URSI、IVSなど国内外の学会で成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実証実験に使用予定であったNICT小金井本部の2.4m広帯域アンテナ、11mアンテナともに駆動機構が故障したため、試験が行えなかった。また、従来のスペアナの代わりに5GHz幅x2chのRFSoCを利用してFFTによるデッドタイムのないスペクトラム取得を目指していたが、在庫切れとなり購入できなかった。また、これの比較に用いるためVERA入来局の既存の帯域の狭い水蒸気ラジオメータ(22GHz帯のみを測定)のデータ取得プログラムの改修をおこなったが、バグが取りきれなかった。 その反面、JAXAの臼田10mアンテナが使用可能となり、野辺山45mアンテナは故障した水素メーザによる基準信号源の代替にOCXOを使う提案があったため、これらに対応して実験計画の再構成と受信機システムの設計変更をおこなうことにした。一旦は利用を諦めた45mアンテナが参加となったことはVLBI観測の感度面では非常に有利であるが、ビーム伝送系が高周波向けの設計のため国土地理院石岡局が使用する測地VLBIに対応する周波数帯の電波はフィードまで伝送できない。ゆえにNICTの2.4mアンテナに4-16GHzと16-64GHzの広帯域フィードを載せることで地理院石岡局と野辺山45m双方とのVLBI実証実験を計画していたのだがNICTのアンテナは駆動系の故障で使用不能となったため、同様の手法をJAXAの臼田10mアンテナで可能とすべく受信機レイアウトとフィードの搭載方法を検討中である。 よって評価は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年8月実験開始を目標に、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45mアンテナに本課題で開発した広帯域フィードと受信機を搭載すべく必要な改修を行う。9月からは同水沢VLBI観測所のVERA20mや10m、JAXAの臼田10mとの組み合わせでVLBI観測と水蒸気測定の実証実験を行い、得られたデータから精度の検証を行う予定である。そのための広帯域フィードと受信機の改修と試験は立命館大学が行い、45mアンテナでVLBI観測を行う際の基準信号源となるOCXOの整備と試験は鹿児島大と国立天文台が行う。NICTはデータ処理や大気モデルの検討を行いつつ、実証実験への参加を目指して小金井2.4mや10mの復旧に努力する。JAXAの臼田10mに対応する広帯域フィードと受信機を搭載できれば、国土地理院石岡局も含めたVLBI実証実験を目指す。 従前はVLBI観測のデータは各機関のVLBIサンプラ、大気のスペクトラムはスペアナでデータを取得する計画だった。VLBI観測で使われる専用サンプラに比べると、汎用計測器である従来の掃引式スペアナは格段にADCの分解能が高いため精度は良いが、本課題では取得する大気スペクトラムがQuad ridge導波管型OMTを利用しても18-58GHzと広いが故に全帯域のスペクトラムを得るのに数10秒かかる。他方、FFT式は同時取得帯域幅が狭いのが難点である。しかし近年のソフトウエア無線機で使われているRFSoCでFFTを行えばADCの分解能はスペアナより若干劣る反面、掃引式スペアナのようなデッドタイムがなくFFT式より同時取得帯域は広いうえ、VLBIサンプラよりも安く小型で低消費電力にできる。本課題には最適であるため、在庫が回復すればRFSoCによるデータ取得を目指す。 これらの成果は天文学会、電子情報通信学会、IAUなど関係する国内外の学会、研究会などで発表を行う。
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[Presentation] Confirmation of sensitivity for detecting anisotropy of atmospheric delay using high-sensitivity delay measurement2024
Author(s)
T. Jike, T. Oyama, A. Yamauchi, H. Ujihara, R. Ichikawa, M Sekido, H. Munekane, B. Miyahara, T. Kobayashi, H. Takeuchi, H. Imai
Organizer
13th IVS General Meeting and 25th Anniversary
Int'l Joint Research
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[Presentation] Novel Real-time Observation of High-resolution Water Vapor Behavior for Detection of Precursors of Cumulonimbus Clouds and Investigation of Their Evolution -Overview of the Research Project-2024
Author(s)
R. Ichikawa, Y. Ohta, K. Araki, T. Tajiri, M. Fujita, H. Ujihara, T. Yamada, T. Jike, H. Imai, M. Minowa, Y. Takashima
Organizer
13th IVS General Meeting and 25th Anniversary
Int'l Joint Research
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[Presentation] 革新的超高解像度リアルタイム水蒸気観測が解き明かす積乱雲発生の前兆と発達過程 その1 -研究の概要と2023年度計画-2023
Author(s)
市川隆一,太田雄策,荒木健太郎,田尻拓也,藤田実季子,氏原秀樹,山田崇貴,寺家孝明,今井 裕,箕輪昌裕,高島祐弥
Organizer
日本測地学会 第140回講演会
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[Presentation] 革新的超高解像度リアルタイム水蒸気観測が解き明かす積乱雲発生の前兆と発達過程 -研究の概要と2023年度計画-2023
Author(s)
市川隆一,太田雄策,荒木健太郎,田尻拓也,藤田実季子,氏原秀樹,山田崇貴,寺家孝明,今井 裕,箕輪昌裕,高島祐弥
Organizer
VLBI懇談会シンポジウム2023