2021 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧超大歪み変形実験による全マントル領域を網羅する地球内部レオロジー断面の決定
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21H04528
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 啓史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 研究員 (90784257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 龍一 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40734570)
東 真太郎 東京工業大学, 理学院, 助教 (60771293)
上杉 健太朗 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主席研究員 (80344399)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Keywords | マントル遷移層 / 深発地震 / 沈み込み帯 / スラブ / プレートテクトニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に当初の計画通り、海洋研究開発機構高知コア研究所へ改良型回転式ダイヤモンドアンビル装置を新たに設置することができた。なお、2022年度からの研究代表者の広島大学への異動に伴い当該装置も広島大学へ移設した。回転式ダイヤモンドアンビル装置は持ち運び可能であるため、2022年度からはSPring-8に持ち込み、既設の回転式ダイヤモンドアンビル装置と置き換えて放射光実験でも使用予定である。また、SPring-8の測定系についても研究分担者であるSPring-8のビームラインサイエンティストの上杉博士を中心に新しい光学素子を導入するなどのアップデートをおこなうことができた。 2021年度はSPring-8のビームタイムを前期後期で各1週間ほど確保することができ(前期は研究分担者である野村、東両博士が申請代表、後期は東、岡﨑が申請代表)、本研究のテーマであるマントル遷移層周辺の圧力条件(およそ20GPa)において、カンラン石の相転移による粘性率低下と深発地震断層形成のプロセスを放射光XRD測定による鉱物組成と応力変化のリアルタイム観察をおこなうことができた。出発試料としてはカンラン石94%、斜方輝石6%の模擬マントル物質を使用した。また、放射光実験から得られたXRDデータから試料にかかる応力を計算するMatlabのスクリプトを作成することができた。今年度は昇温がうまくいかず、比較的低温のデータしか取得できなかったが、放射光下で変形実験をおこなうことに成功し、模擬マントル物質の相転移を伴わない際の応力歪曲線を取得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は世界的な半導体・材料不足により資材調達に若干の遅れがあったものの、当初の計画通り、改良型の回転式ダイヤモンドアンビル装置を新たに製作することができた。また、SPring-8の測定系についても研究分担者であるSPring-8のビームラインサイエンティストの上杉博士を中心に新しい光学素子を導入するなどのアップデートも完了した。レーザー加熱系については、半導体不足に伴う価格の高騰化に伴い導入することはできなかった。しかし、外熱式ヒーターの改良や研究分担者の東博士による近赤外加熱装置の導入の検討などをおこなうことができたので、高温化への装置の調整は変わらず実施できた。したがって若干の研究計画の変更はあったものの柔軟に対応できており、進捗状況としてはおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には2021年度に製作した改良型回転式ダイヤモンドアンビル装置をSPring-8に持ち込み、高温高圧大歪変形実験を放射光下でおこなう予定である。実験に必要なSPring-8のビームタイムについては、2022年度前期分は研究代表者の岡崎が申請代表として申請した研究計画がすでに採択されており、6月に1週間のビームタイムをすでに確保している。2022年度後期分についても岡崎を代表者として申請予定である。2022年度も引き続き、本研究のテーマであるマントル遷移層周辺の圧力条件(およそ20GPa)において、カンラン石の相転移による粘性率低下と深発地震断層形成のプロセスを放射光XRD測定による鉱物組成と応力変化のリアルタイム観察をおこなう。2022年度からは2021年度よりも大径試料を用いることにより、応力の見積もりの誤差を減らすことを計画している。
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