2021 Fiscal Year Annual Research Report
固体物質の塑性変形挙動に及ぼす光照射効果のメカニズム解明
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21H04532
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 篤智 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20419675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃木 栄太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50709483)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 外場効果 / 結晶塑性 / 転位 / 光環境制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質・材料に外部から力が加わった際、どのように形状を変えて壊れていくのかという基礎的現象の研究が、幅広い学術分野において不可欠な課題である。これまで、金属以外の無機材料は、室温では可塑性が非常に小さく、脆く壊れやすいと考えられてきた。これに対して、代表者らは材料の可塑性に光環境が大きな影響を果たし、とりわけ無機半導体が暗闇中で大きな可塑性を発現する現象を発見している。その結果、光環境制御下における各種の固体材料の変形挙動について、今一度調べ直し、光が固体材料にどのような影響を及ぼしているのか明らかにしていくことが求められている。本研究ではこれまで研究がほとんど行われていない幅広い材料系において、より広い視点から光環境効果を評価する。 まず、初年度となる令和3年度では実験方法の構築を中心に研究を実施した。主な内容は以下の2点である。すなわち、どのように試料に荷重を負荷するかという負荷方法の構築とどのように光を照射するかという光環境制御法の構築である。従来から行っている圧子押込法の改善に加えて、より荷重の大きな圧子押込法についても新たに構築した。統計的手法を利用した実験手法の改善により従来より小さなナノスケールでの変位精度で変形挙動を理解できるようになった。また、大きな荷重域での実験のためにバルク変形試験装置を新たに立ち上げた。これにより、より広範囲な荷重に対して、光環境効果を行えるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた実験装置の構築自体はコロナの影響で当初予定から多少遅れが生じたものの、初年度予定の内容をすべて実施することが可能であった。なお、新たに構築した実験装置を用いた実験結果は順調に取得できている。これまで実施したことがない材料系に新たに構築した試験機でもって光環境効果の実験を試みたところ、光環境の影響は塑性変形にとどまらない結果が得られている。かなり細かな視点からの力学試験により、これまでの実験で見逃されていた現象がいくつか発見されており、今後再現性を確認していく。詳細は論文掲載後に報告する。
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Strategy for Future Research Activity |
従来実施していない材料系でも光が変形挙動に影響することが確認された。今後、どのような材料なら影響するのかより広範に調査していく。また、実験装置のさらなる構築により、温度域や光の波長域を変化させた実験も行っていく。
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