2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of Responsive Characteristics of Photosynthetic Cells to Environmental Stimuli by Using On-chip Local Environmental Control
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21H04543
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 史人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90221051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 広峻 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (10844805)
魚住 信之 東北大学, 工学研究科, 教授 (40223515)
丸山 央峰 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60377843)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 超精密計測 / マイクロ流体チップ / ナノバイオ / 機械力学・制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
藍藻を用いて,生体膜で機能するイオン輸送体による環境適応能力を調査した.マイクロ流体チップとマイクロプローブを有するオンチップロボットシステムを統合し,特定細胞への刺激量を動的かつ精密に制御し,細胞応答計測を動的に行った.以下に述べる2通りの方法で研究を進めた. (1) マイクロ流体チップ内の気液界面を使って,微小な液滴を10 ms以下の短時間で置換し,細胞に浸透圧変化などの外部刺激を与え,細胞の大きさ変化を高速ビションによって,計測・評価する. (2) マイクロ流体チップ上の細胞をマイクロプローブによって拘束し,超高分解能を有するピペットを用いて溶液を高速に吸引吐出制御することによって,msオーダーの短時間で外部刺激を与える.そして,マイクロプローブによって,細胞の機械特性を計測する. チップ内での細胞計測実験を行い,以下の成果を得た.A. 微細加工・システム構築:システムを改良し,PZT駆動のマイクロポンプによって高速に溶液置換するシステムを構築した.蛍光色素を用いた評価実験ではステップ応答で10 ms以下の高速応答を実現した.B. 動的機械特性計測:藍藻の大きさ変化,粘弾性計測を実現する動的力センシングのための機構を製作した.2つのプローブの水平調整を行い,実際に動的に力計測を行った.C. 環境制御・計測:蛍光色素を用いて,藍藻の生死判別を行い,機械学習を用いて,細胞のサイズ(面積)を自動的に計測するシステムを構築した.1画面に複数の細胞がある場合でも自動で面積計算をすることが可能になった.D. 細胞計測・評価・機能解析:藍藻の生体膜で機能する輸送体および細胞体積調節蛋白質の遺伝子の不活化株を相同的遺伝子組換え技術によって作成し,動的な環境変化(刺激)による藍藻の力学的特性計測を行った.溶液置換の前後で藍藻が死にいたらない条件が細胞によって異なることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
藍藻の生体膜で機能するイオン輸送体による環境適応能力を調査する目的を達成するため,特定細胞への刺激量を動的かつ精密に制御し,細胞応答計測を動的に行う2通りの方法を考案し,システムを構築して,実際に細胞計測を行った.どちらの方法もそれぞれ有効性が得られ,順調に研究が進んでいる.特に,気液界面を使った高速ビションによる画像計測では複数の細胞を1画面で計測できるため,ハイスループットな計測に成功した.機械学習による自動計測機能も組み込んだため,細胞の統計的な特性を見る上で画期的な方法といえる.また,蛍光色素による生死判別を導入することで,個々の細胞の特性をより正確に比較できるようになった.これによって,当初想定していなかった結果が得られた. 以下にその概要をまとめる. (1) マイクロ流体チップ内の気液界面を使って,微小な液滴を10 ms以下の短時間で置換し,細胞に浸透圧変化などの外部刺激を与え,細胞の大きさ変化を高速ビションによって,計測・評価する方法では,実際に複数の藍藻に対して,ほぼ同時に外部刺激を与えることに成功した.単一細胞レベルで複数のデータを得られる点において有利であり,機械学習によって計測プロセスを自動化したことで,統計的なデータが取れた.また,蛍光色素を用いて,藍藻の生死判別を行い,死んだ細胞を排除して評価することが可能となった.以上により,藍藻の特性計測において,画期的なシステムが構築され,基礎的で重要な知見が得られた. (2) マイクロ流体チップ上の細胞をマイクロプローブによって拘束し,超高分解能を有するピペットを用いて溶液を高速に吸引吐出制御することに成功した.これにより,細胞の溶液を10 ms程度で置換することに成功した.細胞に外部刺激を与え,プローブによってその場で力と細胞のサイズを動的に計測するためのシステムが完成した.
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Strategy for Future Research Activity |
構築したシステムを用いて,細胞への刺激を動的かつ精密に制御し,正常株(野生株)や異なる遺伝子不活化株を比較し,異なる環境刺激下における物理指標の変化から,藍藻の生体膜で機能するイオン輸送体による環境適応能力を調査する.今後も,以下に述べる2通りの方法で研究を進める. (1) マイクロ流体チップ内の気液界面を使って,微小な液滴を10 ms以下の短時間で置換し,細胞に浸透圧変化などの外部刺激を与え,細胞の大きさ変化を高速ビションによって,計測・評価する. (2) マイクロ流体チップ上の細胞をマイクロプローブによって拘束し,超高分解能を有するピペットを用いて溶液を高速に吸引吐出制御することによって,msオーダーの短時間で外部刺激を与える.そして,マイクロプローブによって,細胞の機械特性を計測する. 今後は,安定した計測データを得るために,さらなるシステムの改良と各計測機能の統合実装を行う.流体制御系の安定性の向上,測定レンジの調整,力センサのキャリブレーションを行う.また,藍藻を用いて,計測条件を様々に変化させて,それにともなう信号変化を観測する.以下に,実施予定項目をまとめる.A. 微細加工・システム構築: より安定な計測データがとれるように,オンチップロボットおよびマイクロ流体チップの改良と自動計測アルゴリズムの改良を行う.B. 動的機械特性計測: 藍藻の生死判別を評価軸に加えて,大きさ変化や粘弾性計測を実現する.C. 環境制御・計測: 溶液置換に伴う環境変化の評価を行う.また,チップおよび微小液滴内の濃度制御技術を確立する.D. 細胞計測・評価・機能解析: 新しいシステムを用いて,藍藻の生体膜で機能する輸送体および細胞体積調節蛋白質の遺伝子の不活化株を相同的遺伝子組換え技術によって作成し,動的な環境変化(刺激)による藍藻の力学的特性計測と評価を,正常株(野生株)と比較する.
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Research Products
(6 results)