2023 Fiscal Year Annual Research Report
振幅・位相および時間情報を用いた3次元光秘匿通信技術の研究開発
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21H04547
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 真人 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10333890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 俊彦 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40344733)
葛西 恵介 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80534495)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | 光秘匿通信 / 多値変調 / 時間領域変調 / 物理暗号 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、令和4年度までに開発したFPGA(Field Programmable Gate Array)暗号化/復号化回路および光注入同期回路を用いて、3次元光秘匿通信信号の500 km以上のリアルタイム伝送を実現した。具体的には、1スパンが長さ80 kmの標準単一モードファイバ(Standard Single-Mode Fiber: SSMF)とエルビウム添加ファイバ増幅器(Erbium-Doped Fiber Amplifier: EDFA)で構成される計7スパンの560 kmのストレートライン伝送路を構築し、偏波多重5 Gbaud, 16 QAM/QNSC信号(40 Gbit/s)の560 kmリアルタイム伝送実験を行った。正規受信者に対しては、FPGA内の前方誤り訂正(Forward Error Correction: FEC)符号を用いて560 km伝送後にエラーフリーが実現できることを確認した。その上で、本課題で提案した時間軸における拡散効果を適用することによる暗号の安全性の改善効果について評価した。その結果、時間軸拡散を適用する前は暗号化に用いた16ビットの乱数列のうち6ビットの情報が盗聴者に正しく受信されてしまうリスクがあったのに対し、その適用後は全ての乱数列に対する誤り率が0.5(理想値)に漸近することを確認した。すなわち、本課題の最終目標である500 km以上の長距離伝送時における時間軸拡散方式の有効性を実証した。 また、FPGA回路内に一部改良を施した。これまでは受信部内における信号光とLO光の光路長が時間に対し変動することに起因した受信信号の位相回転の影響を、PZT素子から成るアナログの光路長制御機構を用いて補償してきた。この位相回転補償をFPGA復号化回路内のデジタル信号処理により実施できるようプログラムを改良し、復調動作の自動化を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度に取り組むWDM 1 Tbit/s -500kmオンライン伝送に向け、先行して1つの代表チャネルに対する500 kmオンライン伝送実験を計画通り推進した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築した3次元光秘匿通信用FPGA暗号化/復号化回路、光コム生成器を利用した多波長光源、光注入同期回路、および560 kmストレートライン伝送路を組み合わせ、最終目標である3次元光秘匿通信信号の1 Tbit/s -500 kmリアルタイム伝送を実現する。
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