2021 Fiscal Year Annual Research Report
界面層によるキャリア再結合抑制効果を用いたガラス上シリサイド半導体高効率太陽電池
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21H04548
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末益 崇 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40282339)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | バリウムシリサイド / 太陽電池 / スパッタ / 多結晶 / 分光感度 / ドーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の研究実績を得た。 1. BaSi2膜の形成に用いるスパッタ装置にロードロックャンバーを設置した。これにより、成膜時の基板導入および成膜後の基板取り出しの際に、成膜室が大気に曝されないようになった。従来、成膜時に基板を導入するたびに成膜室内に設置したターゲット材料(特にBa)が酸化して、大変使い難かった点が解消された。 2. BaSi2ターゲットのみをスパッタして形成したBaSi2膜は、Baが不足することが分かっている。この問題を解決し、形成するBaSi2膜の化学量論組成を達成するために、不足しがちなBaについて、BaSi2ターゲットのみのスパッタ堆積ではなく、BaSi2ターゲット上にBa片を置いて、同時スパッタにより供給してきた。しかし、堆積のたびに徐々にBa片が小さくなるため、実験の再現性を確保することが難しい問題を抱えていた。この問題をスパッタ用のBa用のスパッタガンを設置し、BaSi2とBaターゲットの同時スパッタをすることで解決し、高品質なBaSi2膜の形成を実現した。 3.スパッタ法によりホウ素(B)ドープp型BaSi2膜の形成を試みた。具体的には、BaおよびBaSi2ターゲットと、BドープSiターゲットを同時にスパッタし、Bドープp型BaSi2膜を高抵抗Si基板上に形成した。成膜後、ホール測定により、ホール密度およびホール移動度を評価したが、as-grownでは、電子密度が1ccで10の16乗台のn型であった。分子線エピタキシー法では、Bドープp-BaSi2膜を形成できているので、n型伝導は、スパッタ法で形成したBaSi2膜中の酸素濃度が高いことが原因と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記述したように、当初計画していた3つの事柄のうち、2つを達成することができた。このため、おおむね順調に進展していると判断した。 計画通りに進まなかったのは、ホウ素(B)をスパッタ堆積時にドープしたBドープBaSi2膜がp型伝導を示さず、予想に反してn型伝導を示したことである。
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Strategy for Future Research Activity |
ホウ素(B)をスパッタ堆積時にドープしたBドープBaSi2膜がp型伝導を示さず、予想に反してn型伝導を示した原因は、まだ明確になっていない。しかし、スパッタ法で形成したBaSi2膜には、大量の酸素(1cc当たり10の20乗台)が含まれており、分子線エピタキシー法で形成した膜に比べて100倍多いことが、SIMS測定で分かっている。このため、BaSi2にホウ素と酸素が不純物として同時に存在するときに、ホウ素がアクセプターとして働くか否か、まず、第一原理計算で形成エネルギーの視点から検討する。同時に、ホウ素をドープしたBaSi2膜をアニールすることで、伝導型やキャリア密度がどのように変化するか調べる計画である。
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Research Products
(35 results)