2022 Fiscal Year Annual Research Report
界面層によるキャリア再結合抑制効果を用いたガラス上シリサイド半導体高効率太陽電池
Project/Area Number |
21H04548
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末益 崇 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40282339)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Keywords | バリウムシリサイド / 太陽電池 / スパッタ / 多結晶 / 分光感度 / ドーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
BaSi2ヘテロ接合型薄膜太陽電池の実現に向けて研究を行い、下記の成果を得た。 1. デバイスシミュレータを用いて、BaSi2光吸収層とヘテロ接合を形成した場合に、電子輸送層およびホール輸送層として機能する候補材料について調べ、光照射時の太陽電池特性を比較した。その結果、アモルファスSiCが電子輸送等として働くことが、分光感度特性およびシミュレーションから明らかになった。 2.ホール輸送層として期待されるMoO3, NiO, V2O5膜について、BaSi2とヘテロ接合を形成した場合に期待されるデバイス特性を計算し、MoO3膜が適していることが分かった。 3.AlドープZnOとBaSi2のヘテロ界面に、BaSi2と電子親和力の近いZnGeO膜を挿入することで、分光感度が向上することを明らかにした。また、印加する電圧の極性を変えることで、期待していた通り、ZnGeOは、BaSi2で生じた電子について障壁にならず、一方、ホールについては障壁になることを明らかにした。 4.スパッタ法で形成したBaSi2膜には、多数の酸素が含まれるため、不純物をドーピングしても伝導型やキャリア密度の制御がas-grown膜では達成できていなかった。そのような膜について、Ar雰囲気で1000度でアニールすることで、BドープBaSi2膜の場合、5分間のアニールにより、伝導型がn型からp型となり、アニール時間を大きくすることで、ホール密度が増加した。10分間のアニールにより、ドープしたBの約5割が活性化してホールを出すことが分かった。第一原理計算から、p型不純物であるBをドーピングした際、BaSi2中のSi四面体のSi原子の一部をBが置換しても、同じSi四面体のSiサイトに酸素が置換する場合には、n型になることが分かった。このため、アニールにより、p型伝導に変わるのは、酸素がSi四面体から出ていく一方、Bが留まるためと説明できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AlドープZnO/BaSi2ヘテロ界面に、BaSi2に近い電子親和力をもつZnGeOを挿入することで、BaSi2で生じした電子とホールを空間的に分離することが、本研究提案の骨子であるが、作成した試料で確かに分光感度が格段に向上したことで、本研究の提案内容が実証されたことになる。さらに、研究を進めて、分光感度特性がもっとも良いアンドープBaSi2膜を光吸収層とし用いる可能性についても、電子輸送層やホール輸送層とのヘテロ接合により、高い変換効率をもつ太陽電池特性がシミュレーションで得られたことは高く評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の2点を中心に行う。
1.ホール輸送等として期待されるNiO, WO3等の薄膜を真空蒸着法でBaSi2膜上に形成して、BaSi2膜で生じた光生成キャリアに対し、ホール輸送等としての機能を実証し、太陽電池特性に結び付ける。
2.AlドープZnO/p-BaSi2ヘテロ界面にZnGeO/ZnOを挿入して、太陽電池動作を実証する。
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Research Products
(37 results)