2022 Fiscal Year Annual Research Report
Interface charge engineering for manipulation of band alignment at dielectric interfaces and demonstration of its impact on device characteristics
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21H04550
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
喜多 浩之 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00343145)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | 電子・電気材料 / 表面・界面物性 / 誘電体 / 電子デバイス・機器 / 界面双極子 |
Outline of Annual Research Achievements |
界面バンドアライメントは電子デバイスにおいて重要なパラメーターの1つであり,本研究では界面ダイポール効果を始めとするバンドアライメントを変化させる様々な現象についての理解を進めてきた。前年度までに4H-SiC/SiO2のMOS界面ではパッシベーションのための窒素の導入が界面ダイポールを発生する原因となることを見出したが,今年度は追加の熱処理がフラットバンド電圧を大きく変える現象について解析し,この変化の主な原因が固定電荷の発生である一方,界面ダイポール効果の変化は限定的であることを明らかにした。次に,この系のバンドアライメントに対する応力効果の調査のため,4H-SiCウェハに4点曲げによる機械的応力を加えたところ,MOSキャパシタのフラットバンド電圧が,僅か~100MPa程度の圧縮応力では負方向,伸長応力では正方向に~100mVオーダーでシフトすることを発見した。今後はこの現象が界面ダイポールと関連する可能性について検討する必要がある。 また,β-Ga2O3/SiO2界面でのバンドアライメントの光電子分光法による調査では,定量化の精度を高めたことによって,SiO2の成膜を原子層堆積(ALD)法とする場合と電子線蒸着法とする場合の違いが定量化された。ALD成膜では酸素プラズマを用いるため,過剰に供給される酸素がGa2O3側の酸素空孔を低減することがXPSから示唆されており,ダイポール効果の大小は,界面でGa2O3側からSiO2が酸素を奪う量の違いに起因するモデルで説明できた。 さらに,結晶性の制御によって強誘電性を示すことが知られるHfO2薄膜に対して,応力を掛けながら結晶化させることで強誘電相の選択性を変えられる可能性と,引張応力を印加しながら分極反転を行うと急速に残留分極が増大する現象を発見した。今後はこの応力が膜中での双極子の発生に強く影響する現象の解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規ワイドギャップ半導体であるGa2O3と絶縁膜SiO2という酸化物同士の界面に形成されるダイポール効果については,SiO2の成膜手法による違いとアニール効果を統一的に説明するところまでの理解が得られつつある。一方,SiCとSiO2によるMOS界面については初年度までの検討でN原子導入によるダイポール効果に注目してきたのだが,応力印加時のフラットバンド電圧に関して定量的な評価が進み,応力による影響の統合的な理解へ向けてデータが揃いつつある。さらに,新たにHfO2薄膜の強誘電性に対する応力効果の調査を進めたところ,膜中の分極効果,即ち強誘電性が大きく影響を受ける現象が発見され,本研究から派生した新たな展開がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究ではダイポール効果を精緻に理解・制御できる界面としてペロブスカイト酸化物エピタキシャル界面の例を取り上げて検討を進めており,その理解のためのモデルを提案するところまで進展している。しかしモデルの妥当性の検証のためには単に従来通りの評価だけでは不十分であり,面内の積層構造の分布を明確化できる物理解析手段が必要となっている。SPMを用いた表面原子の分布評価や,μ-XPSなどの微視的な光電子分光の適用を進める必要がある。また,新たにSiC MOS構造のフラットバンド電圧に対する顕著な応力効果が発見されており,これは当初は想定すらしていなかった現象ではあるものの,デバイス応用上重要な現象と考えられるため,今後にその解析を推進する。
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Research Products
(18 results)