2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of SiC-MOS interfaces by developing electronic structure calculation methods
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21H04553
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 雄一郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (90762336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤ノ木 享英 (梅田享英) 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10361354)
大島 武 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子機能創製研究センター, センター長 (50354949)
吉岡 裕典 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (60712528)
土方 泰斗 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (70322021)
押山 淳 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 特任教授 (80143361)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | SiC / 有効質量近似 / SiC-MOS / 量子コンピュータ / 虚時間発展法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は大きく2つである。(i)SiC-MOS極性界面での有効質量近似の破綻の発見。これまでの半導体物理学において、有効質量近似はデバイス設計やデバイス特性の解析において中心的な役割を演じてきた。しかし、本研究において、SiC-MOS界面において有効質量近似が破綻する場合があることがわかった。有効質量近似は、結晶周期性に比べて外部ゲート電場の強度変化が緩やかである状況下で正当性される理論である。しかし、SiC結晶のもつ構造の長周期性により、この正当性が破綻し、有効質量近似が成立しないことがあることがわかった。この現象は特に、SiCの極性面において顕著であり、実験的に知られたSiC-MOS極性面の移動度が悪いということと深く関係していることを見出した。本研究成果は、半導体物理学の深化に大きく貢献した。(ii)量子アルゴリズム、虚時間発展法の開発。さらなる大規模化かつ高精度な第一原理計算を可能にすべく、近年は量子コンピュータの利活用に大きな注目が集まっている。本年度では、虚時間発展法を量子コンピュータ上で実現する量子アルゴリズム:確率的虚時間発展法の開発とそれを用いた結晶構造探索アルゴリズムの開発に成功した。特に、結晶構造探索においては化学組成の情報のみで結晶構造を決定することができる可能性があり、従来の材料計算とは質的に異なる計算機シミュレーションが可能になることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画であった「欠陥構造と界面電子状態 の相関解明と更なるデバイス改善提案を行う。それと同時並行に、ESR実験や、欠陥の光学特性を調べることにより、SiC-MOS界面の欠陥構造特 定を進める。」が共に順調に進み、実験とのコラボレーションが進み、論文投稿まで実施することができた。さらには、当初の計画にはなかった、量子コンピュータアルゴリズムの開発まで進んだこと、SiC以外の物質においても電子状態解析の結果に関して多くの成果を得て、論文の出版にまで至ったため、想定を大きく超えた成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
有効質量近似の破綻という、今後の半導体物理学にとって大きな成果を得ることができた。今後としては、現在の産業界の大きな課題である窒化界面処理に関して研究を進めていく。
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