2022 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of high-performance Si-based spin transistors and development of their spin calculation functions
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21H04561
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 誠司 京都大学, 工学研究科, 教授 (30397682)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | スピントランジスタ / シリコン / スピン演算 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコンをチャネルとするスピントランジスタの高性能化とスピン演算を実現するための要素技術として、当該年度は寄生抵抗を抑制するための縦型素子の実現を目指すとともに、及び磁気抵抗比を下げる要因の1つである界面抵抗軽減のための低仕事関数を持つ強磁性体の開発を行った。
従来のスピントランジスタは従来型のトランジスタ構造を継承して横型構造となっている。一方で横型チャネルの場合、寄生抵抗の存在がどうしても磁気抵抗比を下げる原因となってしまうため、最短で5nm程度の短チャネルスピントランジスタの作製が可能となる縦型構造の試作検討も行った。その結果、縦型スピン素子の室温動作に成功し、室温での磁気抵抗比0.2、スピン電圧出力6 mVを達成した。この6 mVという値は横型のスピントランジスタにおける現在達成されている最高値に匹敵する出力電圧である。
また横型スピントランジスタにおける出力上昇に直接的に効いてくると思われる低仕事関数強磁性体の作製にも取り組み、Gdを20%混ぜたFeGd系において仕事関数を大幅に低減し、シリコンとのオーミック接合を実現し界面抵抗を低減することを可能とする材料系の創出にも成功した(N. Yamashita, M. Shiraishi et al., PRMaterials 2022)。尚、この論文は米国物理学会誌であるPhysics誌にFeatureされ、Featured Articleに選定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
演算機能の実現を達成し、さらに縦型スピントランジスタの試作も行うなど、当初の目標を着実に達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて、従来直流動作に限定していたシリコンスピントランジスタの交流動作と素子特性評価を、将来的な高周波動作を念頭に行う。さらに近年我々自らが見出したシリコンスピントランジスタ中に内在するRashba場によるスピン輸送物性変調効果がいかにシリコン中のスピン伝導に影響を与えるか、という観点からより正確なシリコン中のスピン伝導物性を理解するために実験を考案しシリコンスピントランジスタの動作に無視できない効果を与えるこのRashba効果を理解することを目指す。
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