2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21H04562
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森山 貴広 京都大学, 化学研究所, 准教授 (50643326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩次 三重大学, 工学研究科, 教授 (70281847)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 反強磁性体 / スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、反強磁性体が持つ超高周波(THz帯域)の磁気共鳴周波数を積極的に利用した「反強磁性体テラヘルツスピントロニクス」の学理を構築し、スピントロニクスの動作原理を利用した次世代テラヘルツ基盤技術を創成することを目的とする。 反強磁性体のテラヘルツ応答性の評価は古くから行われているが、そのほとんどがバルク結晶を対象としたもので、薄膜を対象とした評価はほとんど行われていない。テラヘルツで動作する反強磁性体を用いたスピンデバイスは、近年発展が目覚ましい情報通信処理分野や超高速エレクトロニクスにおける次世代デバイスとして期待されており、デバイス応用に資する薄膜材料のテラヘルツ特性評価が急務である。 本年度は、ジャイロトロンを用いて、磁性薄膜内で起こる整流効果を利用して、サブテラヘルツ帯における磁性薄膜の磁化ダイナミクスを電圧信号として読み出すことに成功した。本測定手法は、これまで困難とされていた磁性薄膜のテラヘルツ評価技術の先駆けとなるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、反強磁性薄膜における磁化ダイナミクスの評価手法を確立した。今年度得られた成果により、反強磁性体のTHz磁化ダイナミクスと、反強磁性体の表面や界面で起こる遍歴スピンの蓄積の相互作用に起因した様々な現象(スピンポンピング効果やスピントルク効果など)の調査が可能になった。研究は計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度確立した反強磁性薄膜における磁化ダイナミクスの評価手法を利用して、スピンポンピング効果による磁化ダイナミクスから生じるスピン流の検出や、スピントルク効果による磁化ダイナミクスの変調などの実験を進めて行く。これにより「反強磁性体テラヘルツスピントロニクス」の根幹である、遍歴スピンと磁化ダイナミクスの相互作用の詳細を明らかにする。
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Research Products
(10 results)