2023 Fiscal Year Annual Research Report
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21H04562
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森山 貴広 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50643326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩次 三重大学, 工学研究科, 教授 (70281847)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 反強磁性体 / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、反強磁性体が持つ超高周波(THz帯域)の磁気共鳴周波数を積極的に利用した「反強磁性体テラヘルツスピントロニクス」の学理を構築し、スピントロニクスの動作原理を利用した次世代テラヘルツ基盤技術を創成することを目的としている。 本年度は、反強磁性体におけるスピンポンピング効果について調査した。スピンポンピング効果は、磁化ダイナミクスから伝導電子スピン流への変換現象である。強磁性体におけるスピンポンピング効果は理論・実験的によく理解されているが、反強磁性体におけるそれは実験的研究が少なく議論の余地がある。反強磁性体は、二つ以上の磁気副格子が複雑に相互作用したダイナミクスを生じるため、磁気副格子間の相互効果も考慮する必要があり、複雑である。α-Fe2O3 70nm/Pt 4nm二層膜試料について磁気共鳴の電気的測定を行った。ジャイロトロンから発生する135 ~201 GHzの電磁波を試料に照射しながら外部磁場を掃引することでα-Fe2O3の磁気共鳴を励起し、二層膜試料両端に生じるスピンポンピング効果により生じる電圧を測定した。α-Fe2O3の二つの共鳴モードに対して、一方の共鳴モードからはスピンポンピング効果が生じないことが分かった。理論的な考察の結果、反強磁性スピンポンピング効果において、磁気副格子間のスピン相互作用は磁気副格子内のスピン相互作用と同等に大きいことが分かった。反強磁性スピンポンピング効果は、テラヘルツ磁化ダイナミクスからスピン流への変換を担う「テラヘルツスピントロニクス」の基盤となる現象の一つであり、本結果はそのミクロスピックな理解を実験的に進めた基礎・応用の両面で重要な成果である。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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